2012 Fiscal Year Annual Research Report
水中パルス放電に伴う各種物理現象によるスサビノリ遺伝子活性化のメカニズム解明
Project/Area Number |
23760265
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
王 斗艶 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (30508651)
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Keywords | バイオエレクトリクス |
Research Abstract |
水中パルス放電は、放電プラズマより生成される化学的活性種、放電発光に含まれる紫外線、放電路の加熱膨張に伴う衝撃波、放電路先端における超高電界、及び電極間における大電流などの発生を伴い、これらの高エネルギー密度現象を複合要素として発生する。一方、スサビノリは養殖海苔の代表的な品種として日本各地で養殖されており、葉緑体ゲノムの解読および発現配列タグの解読が終了し、実験室での培養が容易であるため大型海藻のモデル植物として使用されている。申請者はこれまでに水中パルス放電によりスサビノリの内生変異体作成に寄与する遺伝子の活性に成功しており、本研究ではそれぞれの単一ストレスがスサビノリ遺伝子に対する影響を調査し、活性メカニズムを解明する。 平成24年度は、平成23年度の化学的活性種・パルス高電界・大電流ストレスに続いて、紫外線をスサビノリへ印加し、遺伝子活性レベルの評価を実施した。キセノンフラッシュランプを用いた紫外線照射実験の結果として、ランプの出力(すなわち照射エネルギー)を増加させていくと、最大で無処理の3倍のPyRE1G1転写レベルが得られた。ただしこの場合、水中ストリーマ状放電の30倍程度の注入エネルギーを要している。水中ストリーマ状放電の印加条件を最適化していけば、より効率的に高い転写レベルを得ることが出来る可能性がある。その一例として印加電圧のパルス幅がある。今回の研究で用いたパルス電源は半値幅で約400nsとなっており、細胞壁への影響が主となる周波数領域である。細胞核へ影響を付加するには100ns以下のパルス幅を有するパルス高電界が必要であると報告されていることから、本研究への単パルス高電圧印加が更なる興味深い結果を引き出すと考える。また、このことはレトロトランスポゾン転写活性のメカニズムを解明するためにも重要となる。
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