2011 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化下地層を用いたフェライトナノドットの形成と超高密度磁気記録媒体への展開
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23760280
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安川 雪子 信州大学, 工学部, 特任助教 (10458995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超高密度磁気記録媒体 |
Research Abstract |
デジタル情報の生産量がデジタル情報記録容量をはるかに超越した現在、増大し続けるデジタル情報を記録するための超高密度磁気記録媒体の開発は喫緊の課題である。そのためには磁気記録材料をナノレベルに微細加工し、且つナノ微細化後も材料が本質的に有する磁気的な特性を維持していることが必須である。当該研究の目的は、自己組織化構造を有するナノドット状のAu下地層を作製し、これを利用して1つのナノドットに1ビットの情報を記録可能な垂直方向の結晶磁気異方性を有する六方晶フェライト(SrFe12O19:Srフェライト)の超高密度磁気記録媒体を開発することである。 超高密度磁気記録媒体の開発のためには、10 nmサイズ/間隔で自己組織化したSrフェライトナノドットを形成する必要があり、当該研究では、始めに自己組織化Auナノドットの作製条件を探索した。Auスパッタ薄膜の薄膜堆積時の加熱処理により、Auドットサイズ並びに間隔に関する検討を行い、前述の条件を満たすAuナノドットの形成条件を見出した。この自己組織化Auナノドット上にSrフェライトを製膜することにより、下地の物理的な構造を用いてSrフェライト薄膜のナノ微細加工を行った。Srフェライトスパッタ薄膜の薄膜堆積時の加熱処理によって、Srフェライトのドットサイズ/間隔を制御した。またSrフェライトドット形成後の熱処理により、ナノ微細化したドットの磁気特性の最適化を試みた。 本研究では20 nmサイズの自己組織化Srフェライトナノドットを作製でき、構造をナノレベルで微細化したにも係わらず、垂直の結晶磁気異方性と優れた磁気特性を確認した。磁気力顕微鏡を用いて磁区構造を評価したところ、ナノ微細構造のサイズ/ドット間隔に対応したナノサイズの磁区を確認でき、1ドットが1ビットに対応したSrフェライトの磁気記録媒体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では超高密度磁気記録媒体を開発するために、以下の研究計画に基づいて研究を推進している。(1)Auスパッタ薄膜から10 nmサイズ/間隔を有する自己組織化Auナノドットを作製する。(2)このナノ構造を下地層として利用し、Srフェライトスパッタ薄膜のナノパターニングを施す。その際に下地のAuナノドットのサイズ・間隔と、Srフェライトナノドットのサイズ・間隔の相関を解明し、両者を制御・最適化する。(3)Srフェライトナノドット自己組織化構造を作製する目的は、磁気記録材料であるSrフェライトの構造そのものの微細化に加え、超高密度な磁気記録媒体としての実用に不可欠であるナノレベルでの磁区構造の微細化、すなわち単磁区化にある。そこで自己組織化ナノ構造と、磁区のナノ微細化の関連性について明らかにする。(4)垂直方向の結晶磁気異方性並びにナノレベルの単磁区構造を有する自己組織化Srフェライトナノドットのパターン媒体への展開。 上記の計画のうち、既に(1)から(3)については達成、あるいは研究知見を重ねており、今後の研究指針を得ている。また当該研究によって得られた成果は国内外の学術学会において発表を重ねており、当該研究は順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
成膜時にバイアス電界を印加することにより、下地層となるAuドットのサイズと間隔をより人為的に精密制御する。 またAuはガラス基板と比較し赤外線吸収率が高いため、赤外線ヒータなどを使ってAuを選択的に結晶化する。Au上ではSrフェライトの結晶化温度が低く、ガラス基板上では結晶化温度が高いことを利用し、Au上のSrフェライトのみをナノスポット的に結晶化・磁性体化してSrフェライトナノドット媒体を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ガラス基板; 40 千円、論文投稿費; 50千円、学会参加登録費; 30千円、成果発表(Intermag, 日本磁気学会, 12th Joint MMM/Intermag conferenceis); 316千円、スパッタリング用ターゲット; 500千円など(前年度未使用額が生じた状況; 設備備品の機種選定に時間が掛かったため購入予定だった設備備品(赤外線加熱装置・RF電源)を購入できなかった。しかし機種が選定できたため、平成24年度には設備備品を購入予定であり、研究費予算を執行予定である。上記設備備品は購入できていないが、それ以外の研究を先に推進中のため、本研究の進捗に問題はない。)
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