2012 Fiscal Year Annual Research Report
窒化物半導体への希土類元素サイトセレクティブドーピング技術の開発
Project/Area Number |
23760281
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
関口 寛人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00580599)
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Keywords | 希土類元素 / 窒化物半導体 / ユーロピウム |
Research Abstract |
希土類(Eu)添加窒化物半導体は、電流注入により希土類イオンを励起できるため、希土類イオンの有する特異な特徴を活用することができる。希土類イオンからの発光は母体材料に生成された電子正孔対の再結合エネルギーの移送を受けた内殻電子の電子遷移に基づくため、超狭線幅や発光波長の温度安定性、利得狭帯による超低閾値の新たな概念のデバイスの実現が期待できる。しかしながら、結晶中に取り込まれたEuイオンからの発光は周囲の原子配置(サイト)により励起効率・発光効率が異なるために、取り込まれた全てのEu元素が発光に寄与するわけではない。本研究では、高効率発光を実現する特定の発光サイトにEu元素を取り込むための技術開発を行うことを目的とする。 希土類元素半導体における発光サイト制御技術の手段としてこれまでに共添加技術が有効であることが示されてきていたが、Eu添加GaNにおいてはどのような材料の共添加が有効であるのかは明らかにされていなかった。研究代表者らはMg共添加がEu3+からの発光強度の増大に寄与していることを見出した。低温と室温の比から発光効率を見積もったところ、Mg濃度が最適化されたサンプルにおいて77%と非常に高い値が得られ、Eu添加GaNの光デバイスへの応用の有望性が確認された。またEu濃度依存性にも着目し、発光サイトの変化や発光強度について調べたところ、Mg共添加したサンプルではEu濃度に依らず発光強度が一定であることが見出された。この結果はEu濃度とMg濃度の関係性が発光強度を決めている可能性を示唆した。 Eu添加GaNを活性層としたLEDを作製したところ、一般的なGaN系LEDと同じ立ち上がり電圧3V付近の整流性が観測され、室温・肉眼において明るい赤色発光を観察した。またMg共添加により発光強度が添加していないサンプルと比較して、数倍程度まで増加する傾向が得られた。
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