2011 Fiscal Year Research-status Report
抵抗変化型不揮発性メモリの基礎物性と抵抗スイッチング特性との相関
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23760282
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 佑介 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10512759)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不揮発性メモリ / 抵抗変化 / 酸化物 / スパッタリング / 欠陥準位 |
Research Abstract |
今年度は主に、1.新たに導入したTiO2薄膜を用いたReRAM素子の抵抗スイッチング特性に対する電極金属材料の影響の検証、Pt(白金)/NiO/Pt積層構造素子における 2.導電性フィラメントの直接観察および 3.フォーミング特性の時間依存評価を行った。TiO2薄膜の堆積条件最適化の結果、Pt/TiOx/Pt積層構造においてx=O/Ti=1.96とストイキオメトリからわずかに酸素不足の組成を有する場合に、最も安定した抵抗スイッチング特性を示すことがわかった。また、仕事関数および酸化物のギブズエネルギーが異なる8種類の電極金属材料を用いた結果、抵抗スイッチング特性には電極金属とTiO2抵抗変化材料との界面における酸化還元反応が大きく関わることが示された。一方、Pt/NiO/Pt積層構造において、フォーミング直後素子内に微小の変形領域が認められた。導電性AFMやTEMおよびEDXを用いた結果、当該変形領域の一部でNiOが還元されており、金属と同等の抵抗率を示す導電性フィラメントが存在することが確認された。低抵抗状態の素子抵抗ばらつきは、この導電性フィラメントの面積や形状の違いに起因すると考えられる。さらに、Pt/NiO/Pt積層構造におけるフォーミング特性評価として、定電圧印加時のフォーミング時間依存を調べた。フォーミング時の導電性フィラメント形成の起源となる(と思われる)NiO薄膜中の点欠陥の分布がポアソンモデルに従うこと、フォーミング時における導電性フィラメントの形成領域はNiO薄膜に比べて格段に薄い(数nm程度)領域であること、などが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、抵抗変化材料であるNiOおよびTiO2の半導体としての基礎物性に着目し、抵抗スイッチングの普遍的なメカニズムを解明し最適化モデルを提案することを最終目的としている。その足がかりとして、TiO2薄膜を新たな抵抗変化材料として導入し、これまで調べてきたNiO薄膜との比較から、抵抗スイッチング特性には電極金属と抵抗変化材料との界面における酸化還元反応が大きく関わることを確認するに至っている。Pt/NiO/Pt積層構造素子におけるフォーミング時の導電性フィラメントの形成領域に関して有用な結果が得られており、事業期間を通した計画に対して十分な進捗が得られていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ReRAM素子の微細化を進めるべく、絶縁膜や素子分離層となるSiO2やSiNの堆積および熱処理条件などを確立する。まず、紫外線(UV)リソグラフィや熱処理・エッチングを用いることによる抵抗スイッチング特性への影響を調べ、その後、電子線(EB)リソグラフィを用いて、低抵抗状態の導電パスである導電性フィラメントと同等とされる、数十nmサイズのReRAM素子の作製プロセスの確立へと拡張する。種々のプロセス条件や異なるサイズの素子間での比較から、抵抗スイッチング前後の局所的な酸素組成の変化を導電性AFMやTEM-EDXなどを用いて系統的に調べ、抵抗スイッチングに関わる領域の絞り込みを行う。また、並行して電極と抵抗変化材料との界面に、バルク相とは異なる酸素組成の薄膜層や窒化物層を挿入し、抵抗スイッチング特性への効果に関して精査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ReRAM素子微細化のため、フォトマスクおよび比較用のメタルマスクを設計・購入する。また、電子線リソグラフィ装置の使用に対する課金や、外部機関でのTEM解析依頼分を一部賄う。その他、研究成果の発表および調査に伴う旅費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)