2012 Fiscal Year Annual Research Report
コラムナ量子ドットを用いたナノ細線フォトトランジスタによる単一光子検出の研究
Project/Area Number |
23760294
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大森 雅登 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70454444)
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Keywords | 量子ドット / ナノ細線 / MBE / 光検出器 |
Research Abstract |
本研究の最終年度である平成24年度では、まず「(1)InAs/AlGaAsコラムナ量子ドットの低密度化と単一ナノ細線の電気伝導特性の評価」について取り組み、分子線エピタキシー法(MBE)による量ドット低密度化手法を応用することで、10ミクロン四方に1個程度の密度のコラムナ量子ドットの作製に成功した。これを用い、単一コラムナ量子ドット(ナノ細線)素子を作製し電流電圧特性の測定を行った結果、コラムナ量子ドットの積層数や層厚、組成比に電気伝導特性が大きく影響を受けることが分かった。この成果により、ナノ細線電流路としてより電流が流れやすい最適な構造を見積もることができた。次に、ナノ細線フォトトランジスタを実現するために、「(2)コラムナ量子ドット上へのGaSb量子ドットの形成」を行った。結果として、コラムナ量子ドットの積層数が多くInAs層による歪蓄積が多い条件の場合には、GaSb量子ドットによるさらなる歪の影響で、成長層に貫通転位が発生することが分かった。これを抑制するために各種条件を再検討したところ、積層数を15層と少なくし、さらにGaSb量子ドットに30%程度Asを混ぜたGaAsSb量子ドットを用いることで、転位の発生を減少させることに成功した。さらに光検出素子を作製し、「(3)ナノ細線フォトトランジスタ素子の光検出性能の評価」を行ったところ、GaAsSb量子ドットへの正孔蓄積による効果で高い光感度が得られたものの、暗電流が想定より非常に大きくなるという結果となった。これは、素子面積が10ミクロン角と大きいため、前述の転位が素子中にわずかながらも存在しており、転位によるリーク電流が暗電流の要因となっていると考えられる。そのため、現在さらに転位を減らすべく、各種成長条件の見直しや歪緩和層を用いる手法に取り組んでいる。
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