2011 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン内テラヘルツプラズモンの理論解析とそのテラヘルツ波素子への応用
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23760300
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 昭 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70510410)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | グラフェン / テラヘルツ / プラズモン |
Research Abstract |
研究初年度にあたる本年度は、理論解析環境の構築を目指し、以下の研究を実施した。1.Weighted Essentially Non-Ocillatory(WENO)スキームでグラフェン内電子輸送を定式化し、セルフコンシステント・ポアッソンソルバと組み合わせたグラフェントランジスタ内プラズモンのシミュレータを開発した。また、音響フォノン散乱によるプラズモン減衰を取り入れた。このシミュレータ開発によってTHz波・プラズモン結合およびプラズマ不安定性の解析が可能になった。また、シミュレータを使った解析により、グラフェン内プラズモンの波長が1マイクロメートル程度で数THzの周波数を持つことを示した。また、音響フォノン散乱によるプラズモン減衰が電子密度に依存することを明らかにした。2.グラフェン内電子間散乱、光学フォノン散乱を定式化し、非平衡状態から擬平衡状態に移る過程を数値的に解析した。これにより、電子間散乱による電子の擬平衡化が10-100fsオーダーで起きることを示した。また、グラフェンを囲む基板・絶縁層に高誘電率材料を用いることで擬平衡化の速度を遅めることができることを示した。電子間散乱をシミュレータに組み込むことにより、プラズモンの流体非線形性・不安定性を考慮することが可能になる。3.二重格子ゲート構造に周期境界条件を課した場合の、マクスウェル方程式と二次元電子ガスの輸送方程式をセルフコンシステントに解く半解析手法を構築した。これにより、二重格子ゲート構造におけるTHz波照射時のTHz波・プラズモン結合を半解析的に行うことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で、研究開始が2カ月程度遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にあるグラフェン内電子輸送の数値解析シミュレータの開発を完了させ、THz波照射時のTHz波・プラズモン結合および電流注入に起因する巨大プラズモン不安定性の解明に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた研究成果発表を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した研究成果発表に必要な経費として平成24年度請求額と合わせて使用する予定である。
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