2012 Fiscal Year Research-status Report
液晶複合レンズを用いた3次元顕微鏡システムの開発研究
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23760301
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
河村 希典 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90312694)
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Keywords | 液晶 / レンズ / 顕微鏡 / 焦点可変 / 回転照明 |
Research Abstract |
(1)液晶レンズの任意波形電圧による駆動:任意波形発生装置を用いて,印加電圧時間とのタイミングを制御することによる液晶レンズの駆動時間特性について評価を行った。その結果,液晶レンズにおけるオーバードライブおよびアンダーシュート駆動を行うことで,駆動の高速化が可能となった。 (2) 液晶レンズ及びLEDリング型方位照明を用いた顕微鏡システムの構築と評価:リング型LED方位照明の各LED素子を順次点灯制御できる液晶レンズを用いた顕微鏡システムを本年度に新たに提案し,システムの試作を行った。被写体への照明にはリング型LED方位照明(中心波長:532nmまたは625nm)を用い,LED照明の各発光素子をパーソナルコンピュータ(PC)により順次切替えながら点灯し,CMOSカメラを用いて顕微鏡写真を撮影した。液晶レンズを駆動し撮影した各焦点面の顕微鏡写真に局所統計量フィルタを用いて合焦位置の抽出を行った。今まで被写体表面のハレーション等により合焦位置を抽出できなかった領域が存在したが,任意の焦点面において隣り合う3個のLEDを順次点灯し切替えることで,ハレーション等による反射光がない画像のみを抽出可能となり,局所統計量フィルタを用いることで,被写体の凹凸によるハレーション等に影響なく合焦位置を求めることができた。 (3) 液晶レンズの電圧印加制御およびCCDカメラ制御の自動化:今年度では実験方法や原理等の確認をすることができた。次年度ので全焦点画像の生成をリアルタイムで実現する予定である。 (4) 二次評価・まとめ:研究成果に対する二次評価を行った。今年度の課題目標の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行い,次年度への問題点を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで被写体表面のハレーション等により合焦位置を抽出できなかった領域が存在したが,今年度新たにLEDを順次点灯し切替えることが可能なLEDリング型方位照明を試作し,任意の焦点面において隣り合う3個のLEDを順次点灯し切替えることで,ハレーション等による反射光がない画像のみを抽出可能となった。そのため,局所統計量フィルタを用いることで,被写体の凹凸によるハレーション等に影響なく合焦位置を求めることができ,新たな知見を得ることができた。そのため,概ね研究目的を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度であり,以下の研究内容について計画を立てている。 (1) 液晶レンズの電圧印加制御,回転LED照明及びCCDカメラ制御の自動化:3次元顕微鏡システムのリアルタイム全焦点画像の測定を行うため,液晶レンズに印加する電圧制御,平成25年度に新たに開発した回転LED照明の点灯制御,及びCCDカメラ制御をNI Labviewのプログラミングにより,煩雑な実験手順を必要とせず,容易に3次元顕微鏡システムと画像処理システムの統合を行い,リアルタイムでの全焦点画像生成を行う。 (2) 球面収差補正液晶レンズの試作:電極構造のパターンニングまたは高抵抗膜のパターンニングを用いた同一平面内の円形パターン電極構造を有する液晶レンズを用いることにより,各電極に印加する電圧を制御することで,球面収差を補正するレンズの試作をを試みる。 (3)3次元顕微鏡システムの高解像度・全焦点画像の測定・評価:上述した球面収差等を補正することができる液晶レンズを用いた3次元顕微鏡システムを再構築し,高解像度の全焦点画像を抽出し,測定系の最適化と評価を行い,3次元顕微鏡システムのバイオ分野への用途開発を行う。 (4)総括:全体計画における各々の課題目標の位置付けを明確にし,問題点等の抽出を行い,実用化に向けた総合的な考察を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品は計上していない。消耗品として,光学部品,電子回路部品,無機・有機溶剤・酸性溶液,透明電極膜付ガラス基板,種々ガラス厚が異なる電極基板をあげる。国際学会の成果発表旅費を計上し,SPIE Optics + Photonics 2013(サンディエゴ)での発表を行う予定である。また,国内学会では,平成25年度液晶学会討論会,平成25年秋季応用物理学会(同志社大学 京田辺キャンパス)及び平成26年春季応用物理学会(青山学院大学 相模原キャンパス)での成果発表を行うため旅費を計上している。その他,論文投稿印刷費に充てる。
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