2013 Fiscal Year Annual Research Report
低コスト超高効率化合物半導体/シリコンハイブリッドタンデム太陽電池の開発
Project/Area Number |
23760303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 克明 東京大学, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任准教授 (60548650)
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Keywords | 太陽電池 / 化合物半導体 / シリコン / ウェハ貼り合わせ |
Research Abstract |
理想的なバンドギャップの1.7eV/1.1eV二接合太陽電池は、我々の試算によると、限界効率はAM1.5G (1sun) 下で、現在最高効率を得ている1.9eV (Al)InGaP / 1.4eV (In)GaAs / 0.66eV Ge 三接合太陽電池と同じ41%に及ぶ。接合界面でのキャリアおよび光のロスや電流整合の困難を考慮すると、実際の動作においてはむしろ二接合型に分があると考えられ、最高効率の実現が期待される。また、シリコンを基板材料に採用することにより、従来の化合物半導体ベースの高効率太陽電池と比べて、低コスト、軽量、高強度、高熱伝導といった実用上の多くの利点も見込める。本課題では、異種材料間の格子不整合により成長において高密度の結晶欠陥が生じる問題を克服するために、半導体ウェハ貼り合わせ技術を用いた。GaAs/Siヘテロ接合におけるエネルギーバンド接続に着目し、ドーピング濃度を調整することで縮退GaAs/Si同士によるトンネル接合の形成し、世界初となるオーミックな電気特性を持つGaAs/Si貼り合わせ接合を得ることに成功した。今回300℃という低温で得られたGaAs/Siのオーミック接合は、今後様々な新規高性能化合物半導体/Siハイブリッド光電子デバイスへの利用が期待される。得られた低抵抗p+-GaAs/n+-Si接合を用い、世界初の貼り合わせによる化合物半導体/Siハイブリッド多接合太陽電池となるAlGaAs/Si二端子二接合太陽電池の作製に成功した。AlGaAsセルは通常の太陽電池と上下逆向きに成長し、Siセルと貼り合わせた後に、GaAs基板を除去した。作製した二接合太陽電池は、1sun (100mW/cm2) 下において25%という、初期データとして高い発電効率を示し、超高効率格子不整合多接合太陽電池の実現への我々の手法の妥当性が見られる。
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