2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23760308
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
關谷 尚人 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (80432160)
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Keywords | フィルタ / 超伝導 / ストリップライン / デュアルモード共振器 |
Research Abstract |
従来,超伝導送信フィルタはマイクロストリップライン(MSL)構造が用いられてきた.しかし,MSL構造を用いたデュアルモードフィルタは大きな耐電力特性を実現できるが,不要な飛び越し結合が強く小型化が困難であった.また,超伝導送信フィルタは,段数が増加すると共振器端部に集中する電流密度が増加し,耐電力特性が劣化する.そのため,できるだけ段数を少なくし急峻な遮断特性を実現することが求められる.しかし,MSL構造を用いたデュアルモードフィルタでは急峻な遮断特性を実現する楕円関数型フィルタを小型に設計することが困難であり,MSL構造を用いた超伝導送信フィルタの研究は限界に近づきつつあった. これに対し,本研究ではストリップライン(SL)構造を超伝導送信フィルタに用いることを提案し,これまで困難であったデュアルモードフィルタの小型化を実現し,急峻な遮断特性を得られる楕円関数型フィルタを容易に実現したことによって,これまでで,最も小型で高い耐電力特性を有し,さらに,急峻な遮断特性を有する超伝導送信フィルタの実現可能性を実験的に明らかにした.しかし,SL構造は実装が大変困難であり,わずかでも対称性が崩れると不要なスプリアス共振が発生してしまい,帯域外遮断特性が著しく劣化する問題が表面化した.この問題に対し,本研究者は本研究テーマよりさらに耐電力特性が増加し,なおかつ不要なスプリアス共振を低減できる新たなフィルタ構造を提案した.これにより,当初計画していた超伝導送信用フィルタよりさらに高性能な送信用フィルタの実現にいたった. 今後,新規提案構造を用いた超伝導送信用フィルタについてより深い検討を行い,これまでで最も小型で高耐電力を有する超伝導送信用フィルタの実現を目指す.
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