2011 Fiscal Year Research-status Report
Si基板と単結晶PZT薄膜の融合による内視鏡用超音波プローブのマイクロチップ化
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23760311
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
赤井 大輔 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 助教 (50378246)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 超音波振動子 / 圧電薄膜 / MEMS / ダイアフラム |
Research Abstract |
本提案では、LSI・MEMS・強誘電(圧電)薄膜プロセスとを融合することで、Si基板上の圧電PZT薄膜を利用したマイクロサイズの超音波振動子の作製技術を確立し、その振動子を多数アレイ状に配置した内視鏡観察に適応可能な数mm角の超音波プローブチップを実現する。内視鏡による血管内の超音波診断に応用すれば、動脈硬化などの循環器系疾患の早期発見、治療において有用な技術となる。H23年度は、1.振動子作製のための微細加工技術確立および2.マイクロ振動子の特性解明を目的に研究を行った。1.については、直径100μmの超音波振動子を150μmピッチで配置し形成する技術を確立した。直径100μmの素子中心に直径10μmの穴を形成し、そこからXeF2ガスによるSi基板エッチングを行った。この技術の確立により、1mm2エリアに約40個の超音波振動子を形成することが可能となり、数mm角内への超音波振動子アレイ実現の目処を得た。2.については、AFMによる超音波振動子の機械的振動評価を実施予定であったところ、多点レーザードップラー振動計測システムによる評価の機会が得られ、マイクロ振動子の特性評価が行えた。評価結果より、共振周波数約2MHzでの(0,0)モード振動(1次)を筆頭に10MHzまでに6つの共振振動モードがあることが分かった。1次振動モードの周波数2MHzは事前の簡易な数値解析とよく一致していた。これらの結果より、ターゲットとしている数MHz帯での超音波振動子設計および実現への目処が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、振動子作製技術の確立および振動子の機械的振動特性の評価を行うことができた。機械的振動特性評価については、当初予定のAFMよりも高度な評価を行うことができ、振動子の共振周波数計測だけでなく、振動モードの詳細を解明することができた。一方、電気的なインピーダンス計測については測定は行えたが、結果を十分に説明できるモデルの構築にいたっていないため、さらなる測定・解析が必要と考えている。以上を鑑みて、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の研究は、H23年度に得られた結果を元に、チップのレイアウト・仕様変更をおこない、試作を続ける。振動子の特性解明については第1四半期を目処に実験を完了する。測定された振動特性やインピーダンス特性を元に、超音波イメージングシステムの構築を行う。既存の超音波診断システムベースとして8×8chのデータ取り込みが可能なように改造をおこなう。マイクロ振動子チップに対応(コネクタ配置、インピーダンスマッチング)したケーブルの準備などが必要。構築したシステムを用いて、イメージングを試みる。水中での単純な送受信測定でマイクロ振動子の基礎特性を得た後、生体組織を模した対象物を利用しての測定を行う。これにより数mm角の超音波プローブチップを実証したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
センサ作製に必要な消耗品は、24年度後半はイメージング実験が中心。イメージジング評価に向けて既存装置を改良するため、アンプ等のシステム構築用電子回路部品や装置とチップ接続用ケーブルを購入する必要がある。国内旅費、海外旅費はセンサや応用物理分野での成果報告を行うために使用したい。【繰越予算について】H23年度、AFMによる超音波振動子の機械的振動評価を実施予定であったところ、多点レーザードップラー振動計測(LDV)システムによる評価の機会が得られ、マイクロ振動子の特性解明を実施できた。また、H24年度も機械的振動特性についてはLDV測定にて評価できることとなった。また、消耗品については、別プロジェクトとのシェアリング効果により当初予定より大幅に支出削減できた。これらにより、H23年度は経費使用が抑えられることとなった。H24年度は、当初計画で予定していなかったプロセス用部材(スパッタターゲット)購入が必要となるため、繰り越し予算を利用する
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