2012 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼ナノギャップメモリー素子の実用化基盤技術開発
Project/Area Number |
23760320
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅 洋志 千葉工業大学, 工学部, 助教 (60513801)
|
Keywords | ナノギャップ / ナノ空間 / 白金 / エレクトロマイグレーション / 不揮発性記憶素子 / 高温耐久素子 / ナノエレクトロニクス |
Research Abstract |
現在実用化されているメモリー素子は80℃以上で動作せず,夏の炎天下車内等,日常の過酷環境下でも安定に動作しない.そのため,消防用通信機器や航空機,救急医療器具等,過酷環境下で高信頼性が求められる製品に対応する事ができない.ナノギャップ型メモリーは,ナノサイズのギャップを挟んだ金属電極のみで構成され,原理的に高温動作が可能である.本研究課題では,ナノギャップ型メモリを各種金属により作製し,その高温動作安定性を調べることにより,高信頼動作メモリー素子実用化のための基盤技術を開発することを目的に研究を行った.電極材料や電極サイズ・形状の選択自由度が高い「平面型ナノギャップ型メモリ」を用いて各種金属・温度・構造を調査することで,ナノギャップメモリの高温動作安定性の系統立った知見の獲得を目指した.シリコン基板上に電子線リソグラフィーを用いて,金属ナノワイヤー構造をシリコン基板上に作製.その後,制御を伴った通電によって,ナノワイヤーを精度よく破断することで,ナノギャップ構造を形成.本研究を通じ,Ptなどの高融点各種金属でのナノギャップ構造の形成技術を確立した.高温素子測定用プローブステーション装置を用いて,メモリーの高温環境動作特性を調べ,On,Offに相当するそれぞれの抵抗値のばらつきが,ナノ領域で微細なナノ構造や多結晶構造の変形に起因していることを明らかにした.さらに,温度に対して堅牢な単結晶構造を備えたナノ電極の作製を試み,白金単結晶ナノ構造の作製手法を確立した.電子線結晶構造解析により形成した構造が単結晶であることを確認した.本研究によって創世された,単結晶ナノ電極は,ナノ空隙に対向する電極の仕事関数を結晶面方位で制御可能な空間制御技術であり,これまでに実現されていない.ナノギャップ型メモリーの基盤技術ばかりでなく,ナノ空間を利用するあらゆる技術の基盤技術となりうるものである.
|