2012 Fiscal Year Research-status Report
モバイルMIMOブロードキャスト方式に適した通信方式の構築と解析
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23760329
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
竹内 啓悟 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30549697)
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Keywords | 情報通信工学 / 移動体通信 / MIMO / ユーザ選択 / 確率伝播法 / 順序統計理論 |
Research Abstract |
持ち運び可能な無線端末が普及した現代、一つの基地局から複数の移動局(以後、ユーザと呼ぶ) に情報を効率的に伝送するモバイルブロードキャスト(BC)方式の重要度が増しつつある。複数のアンテナを利用して通信を行う多入力多出力(MIMO)方式は、主に単一のユーザの伝送効率を高めるための方式として実用化されてきたが、BC方式としても利用が可能である。本研究の目的はMIMOを使ったモバイルBC方式に適した実用的な通信方式を構築し、その性能解析を行うことである。 平成24年度は前年度に提案したデータ依存型ユーザ選択法の理論的な性能解析を実施した。既存の理論解析ではアンテナ数に比べてユーザ数が十分大きい極限を仮定して、極値統計理論を用いた性能解析が行われてきた。この極限下で得られる解析結果は、例えばアンテナ数が4本、ユーザ数が64人のシステムの性能に対する近似とみなすことができる。しかしながら、アンテナ数が8本、16本と増えていくにつれて従来法の近似の精度は悪化してしまう。このようなアンテナ数は現実的な本数となりつつあるため、例えば、アンテナ数が16本、ユーザ数が64人のシステムの性能をよく近似できるような理論の構築を目指した。具体的には、順序統計理論に基づいて大システム極限を仮定した理論解析を実施した。大システム極限とはアンテナ数とユーザ数との比を一定に保ちながら、両者を無限大にした極限である。大システム極限では従来のデータ非依存型ユーザ選択法を使用するメリットはなくなるのに対して、提案手法であるデータ依存型ユーザ選択法を使用することで、大システム極限下でも送信電力の削減が可能であることが示された。 なお、平成24年度の成果の一部は、国際学会ISITA2012や国内学会SITA2012で公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度までの研究は、申請時に記載した研究実施計画の通りに実施され、本研究課題の主要な部分は本年度までに解決された。得られた成果の直接的な学会発表は2件行ったものの、学術雑誌での公表にはまだ至っていない。なお、平成24年度には本研究と関連する学術論文が1件公表され、同じく2件の学術論文の採録が決定し、最終校正中である。採録が決定した学術雑誌論文の中1件が掲載される予定の雑誌「IEEE Trans. Inf. Theory」は、当該分野で最も権威ある学術雑誌の一つで、2005年から2009年までの年平均インパクトファクター(IF)は約4.31(平成24年4月調べ)と非常に高い。参考として電子情報通信学会の英文誌(E-A)の対応するIFは約0.325(同上)なので、この雑誌は約13倍の高いIFを有する。以上の理由から、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、平成25年度は電力制御問題の解決と多値変調への拡張を実施する予定であった。しかし、平成24年度までに実施した研究から、ユーザから基地局に向かって情報を伝送する上り回線での通信路推定の精度が、提案ユーザ選択手法に大きな影響を与えることが判明した。この通信路推定の問題と比べると、電力制御や多値変調は些細な問題と言える。そこで、平成25年度は、予定を変更して上り回線での通信路推定問題を検討する。 モバイル環境での通信路状態は時々刻々と変化するため、高頻度で通信路の推定値を更新しなければならない。そのような状況下では、通信路推定用のパイロット信号の送信頻度が増えるため、データの伝送速度が低下してしまうという問題点が生じる。この問題を解決するために、通信路とデータとの同時反復推定を行う方式を提案し、その性能解析を行うことを目指す。通信路とデータとの同時反復推定を行うことで、パイロット信号の量を劇的に削減できることが期待される。さらに、得られた成果をIEEE等の世界最高峰の学術雑誌で公表することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出版上の都合により、学術雑誌論文2件の掲載が平成24年度から平成25年度にずれ込むことになったため、平成25年度への繰越金約225,000円が生じた。 平成25年度の研究費は研究成果を公表するための旅費に重点を置いて配分する。具体的には、国内学会1回、当初予定よりも倍増の国際学会2回の成果発表を行う予定である。予算の繰り越しを決定した時点で予想していたよりも論文掲載料が安くおさまる見通しであるため、追加した学会発表の参加費用には当初予定していた論文掲載料および前年度繰越金の一部を活用する。以上まとめると、物品費に当初予定通り191,000円、旅費に600,000円、謝金等に0円、その他の経費に334,000円、平成25年度の合計所要研究費は1,125,000円である。これは繰越金225,000円と平成25年度直接経費請求額900,000円の合計1,125,000円と合致しており、妥当である。
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Research Products
(5 results)