2013 Fiscal Year Annual Research Report
統計的に不正検知可能な情報理論的暗号方式とその応用
Project/Area Number |
23760330
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩本 貢 電気通信大学, 先端領域教育研究センター, 准教授 (50377016)
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Keywords | 不正検知 / 秘密分散法 / 視覚復号型秘密分散法 / 情報理論的安全性 / ケルクホフスの原理 |
Research Abstract |
(1) 視覚復号型秘密分散法(VSSS)に関する成りすまし攻撃:HuとTzengはVSSSに対する成りすまし攻撃を議論し,攻撃成功確率が無視できるほど小さい方式を提案した.しかし,この方式はケルクホフスの原理(暗号方式は秘密情報以外の仕様を全て公開してもなお安全であるという考え方)に基づいている.復号者が計算機を使用しないVSSSにおいては,このような状況は必ずしも現実的とはいえず,基本行列などの仕様を知らない被害者が,復号した結果を成りすましと気がつかずにそのまま受け入れてしまう可能性がある.本研究では,このような設定の下ではHu-Tzengの方式は確率1で成りすまし可能であることを示した.不正検知手法等に関する検討は今後の課題である. (2) 制限付き誕生日攻撃の最適性と,差分標的衝突攻撃:ハッシュ関数に対する衝突耐性を研究することは,成りすまし攻撃の存在を指摘することに他ならない.本研究では,ランダム関数に対して制限付き誕生日攻撃(LBA)と呼ばれる攻撃を行う場合の最適計算量を,情報理論的な手法等を駆使して明らかにした.この問題は2010年以降未解決の問題である.また,LBAが差分標的衝突攻撃(dTCR)と等価であることを示し,実際にdTCRが有意に成功する攻撃法を示した.明らかになった攻撃計算量のうち幾つかは知られている中で最良の攻撃である. (3) Renyiエントロピーに基づく情報理論的暗号:情報論的安全性を保証する暗号化の不可能性(逆定理)の統一的理論を研究した.情報理論的安全性の下では,鍵の要素数やシャノンエントロピー,最小エントロピーに関する不可能性定理が知られているが,これらの証明は一見すると全く別の導出方法に依っている.そこで本研究ではこれらを統一することから研究を始め,情報理論的安全性やRenyiエントロピーに関する幾つかの基本的結果を得た.
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