2011 Fiscal Year Research-status Report
QoEに基づいた多視点ビデオ・音声IP伝送の高品質化技術の研究
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23760332
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
布目 敏郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10345944)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / マルチメディア / 多視点ビデオ / IP伝送 / QoE多次元評価 / インタフェース / QoE推定 / 配信方式 |
Research Abstract |
本研究は,多視点ビデオ(MVV: Multi-View Video)・音声IP伝送におけるユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)に影響を及ぼす要因を明らかにし,QoEを最大化するために必要となる制御を,ネットワーク伝送の観点から検討するものである.平成23年度は,IPネットワークにおいて,MVV・音声伝送が従来の単視点ビデオ・音声伝送に比べてどれだけユーザのQoE向上に資するかを定量的に評価した.まず,送信端末から受信端末へユーザが選択した1視点のみを伝送するシステムを対象に,複数のコンテンツ,視点切り替えユーザインタフェースがQoEに及ぼす影響をSD法を用いた多次元評価により調査した.そして,機械的に測定可能なアプリケーションレベルQoSから多次元評価されたQoEを推定する手法の基礎検討を行った.また,テレビ会議のようなネットワークを介した対等な関係のユーザ間でのインタラクティブ通信へMVV・音声伝送を拡張し,QoE評価を行った.このような通信形態においても,従来型の単視点ビデオ・音声通信に比べてQoEが向上することを定量的に明らかにした.さらに,平成24年度以降の準備として,複数視点のビデオを同時に配信することで,視点切り替えの遅延を抑制する方式の基礎検討を行った.使用できる帯域が限られるという条件のもとで,送信視点数を減らして画質を優先する方式,送信視点数を増やして視点切り替えの応答性を優先する方式,それらの中間をとった方式の比較を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,IPネットワークにおいて,MVV・音声伝送が従来の単視点ビデオ・音声伝送に比べてどれだけユーザのQoE向上に資するかを定量的に評価した.これは,当初の研究計画に沿ったものとなっており,ほぼ計画通りに遂行できているといえる.また,平成24年度に検討予定であったQoEを高めるための制御方式の検討のうち「送信側における制御」について,基礎的な検討を開始しており,引き続き順調に計画を遂行できるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き送信側における制御として複数視点同時配信の検討を進める.また,ピクチャパターンによる画質と切り替え遅延とのトレードオフがQoEに及ぼす影響の調査も行う予定である.さらに,ネットワーク側の制御である帯域制御およびマルチキャストの検討を行うための準備に取りかかる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
複数視点同時配信方式の有効適用領域を明らかにするための主観評価実験を行う.多くの被験者による評価が必要となるため,このための謝金を計上する.また,対等インタラクティブ通信においてQoEに影響を及ぼす要因をより詳細に調査する必要があるが,この実験が平成23年度中に実施できなかったため,被験者謝金として次年度使用を行う予定である.一方で,研究成果を外部へ発表していくことも必要であり,このための旅費も計上する.物品費としては,平成25年度のマルチキャスト通信への拡張のため,端末の追加購入を考えている.
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