2012 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム理論を応用したヘテロジニアス無線ネットワークのための自己組織化適応制御
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23760333
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 高至 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30423015)
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Keywords | 移動体通信 / ヘテロジニアス / 自己組織化 / 微分ゲーム |
Research Abstract |
無線ネットワークは、異なる性質の無線通信が共存するヘテロジニアス無線ネットワークになりつつある。このようなヘテロジニア ス無線ネットワークでは、干渉や衝突の制御がスペクトル利用効率に大きな影響を持つ。これら干渉や衝突といった無線通信に特有の 問題は相互作用に起因するものと捉えることができ、相互作用を数学的に扱うゲーム理論の知見を元にモデル化が可能である。本研究 では自己組織化に適したゲーム理論をヘテロジニアス無線ネットワークに適用し、その効果を検討する。 平成24年度の計画は、少数派ゲームの応用であった。 (1) 少数派ゲームの応用 少数派ゲームのフレームワークでは、少数派の数が大きくなる、言い換えると少数派と多数派の数が均衡するためのアルゴリズムを提供している。無線通信においても干渉が大きすぎない状況でできるだけ通信数を増やすことがスペクトル利用効率の向上に繋がる。このようなシナリオに少数派ゲームのアルゴリズムを応用することで、CSMA/CAと比較してスペクトル利用効率の高い方式を検討した。 (2) 微分ゲームの応用 少数派ゲームと同様に、動的なゲームとして微分ゲームがある。追加の検討として微分ゲームを、スマートグリッドにおける制御のモデル化に用いるフレームワークを検討した。具体的には、スマートグリッドにおいて、複数の家屋が存在する際に、その間で通信により太陽光発電量を共有できる場合とそうでない場合をそれぞれフィードバック分散制御とオープンループ分散制御としてモデル化し、評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は少数派ゲームのみの検討を考えていたが、制御との組み合わせを議論するための微分ゲームの適用も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度までの成果の発表を行うほか,細かい妥当性の検証やさらなる展開を図る。少数派ゲームや微分ゲームなどなど新たなフレームワークを用いた検討も進める。 (1)細かい妥当性の検証 平成24年度はスマートグリッドを議論するためのフレームワークを提示したが、細かいデータの取得はこれからである。これまでは公開されている粗いデータを用いたが、新たに大学内で取得する実データを含めた精度の高い評価を行う。 (2)他のゲームの適用の研究 先に述べた少数派ゲーム・微分ゲームも、これまで研究代表者が非協力ゲーム、進化ゲームなどの研究を通して新たに有用だと着目した理論であり、他に有用なゲームを見出し、その適用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費として理論検討を進めるためのソフトウェア、書籍を計画している。 旅費としては国内計3回程度の成果発表旅費を計上している。その他、成果発表のための英文論文校閲費、成果投稿料を計上している 。各費目が全体の研究費の90%を超えることはない。
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