2012 Fiscal Year Research-status Report
フェムトセル・マクロセル共存環境での無線資源割当てに関する研究
Project/Area Number |
23760334
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 めぐみ 京都大学, 情報学研究科, 助教 (10595739)
|
Keywords | 移動体通信 / 情報通信工学 / 先端的通信 / 無線資源割り当て / フェムトセル / 干渉制御 |
Research Abstract |
本研究は,OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を用いた次世代無線通信システムにおいて,ユーザが各家庭で自由に基地局(ホームベースステーション)を設置することが可能な環境での無線資源割当て法を確立することを目的とする.特に,無線通信の性質であるブロードキャスト性(送信された信号が広範囲に多くのノードで同時に受信可能なこと)を利用することで,貴重な周波数・エネルギー資源の消費量を低減しつつ,システム全体の特性や各ユーザの公平性を向上することを目的とする. 本年度は,複数のフェムトセルが存在する現実環境での干渉状態をモデル化し,フェムトセルの基地局が利用可能な制御情報やCSI情報を明らかにした.無線通信のブロードキャスト性を利用することで制御信号やCSI情報を増やさずに,マクロセルへの干渉削減を実現するフェムトセルの電力割り当てを提案した.考案したそれぞれの無線資源割当て法に必要な演算量,CSIフィードバック情報量,消費電力について検討した.計算機シミュレーションにより,従来法と比べて,マクロセル及びフェムトセル両方の達成可能レートを向上することを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はおおむね計画通り研究を進めることが出来た.以下に,具体的に平成24年度に達成された項目を示す. 1. 現実のフェムトセルシステムのモデル化: 複数のフェムトセルが存在する現実環境で,干渉状態のモデル化を行った.更に,干渉状態の各モデルにおいてフェムトセル基地局・フェムトセルユーザがブロードキャスト性を利用して得られるCSIフィードバックや制御情報を明らかにした. 2. 現実的なフェムトセルシステムのための無線資源割当て法を考案:上記モデルに基づいて複数の実現可能な無線資源割当て法を設計した.また,考案したそれぞれの無線資源割当て法に必要な演算量,CSIフィードバック情報量,消費電力について検討した. 3.各無線資源割当て法の特性評価:上記の必要な演算量や制御情報量などを考慮した上で,従来法・提案法・特性上界を示す各無線資源割当て法の特性評価を計算機シミュレーションで行った.その結果,提案法はマクロセル・フェムトセル両方において,特性上界に近いサムレートが達成でき,従来法の特性を向上できることが分かった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,更に現実的・複雑なヘテロジニアスシステムのためのプロトコルの提案と特性評価を行う.また,提案アプローチの汎用化について検討する.以下に具体的な項目を示す. 1. プロトコル設計:様々なユーザトラフィックモデル・ユーザの移動モデル,フェムトセル・マクロセルのトポロジーなどを持つヘテロジニアスシステムのためのプロトコル設計を行い,その特性を計算機シミュレーションで評価する. 2. フェムトセルシステムのために提案したアプローチを,他の無線システムでも利用できるか検討するために,どのような要件を満たすシステムに適用可能であるかを明らかにすることで,提案手法を汎用のアプローチに昇華する. 3. 上で明らかにした要求条件を満足する具体的な無線通信システム(例えばセンサーネットワークやコグニティブ無線などが予想される)を示し,実際に提案手法を適用することで特性の改善を図る.これにより提案アプローチの汎用性を明らかにする.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)消耗品:研究の参考図書等を購入.商用のコンパイラ及び数値計算用ソフトウェアを購入(300 千円). (2)国内旅費:2-3回程度の国内研究成果発表,及び2回程度の研究打ち合わせを予定(300 千円). (3)外国旅費:2-3回研究成果発表と海外共同研究者と打ち合わせを予定(1000 千円). (4)その他:学会参加費,及び学術論文誌の別刷り代を予定(200 千円).
|