2011 Fiscal Year Research-status Report
MIMO通信における送信ピーク電力を考慮した信号処理に関する研究
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23760340
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
牟田 修 九州大学, 日本エジプト科学技術連携センター, 准教授 (80336065)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | MIMO / マルチキャリア信号 / 符号多重信号 / ピーク対平均電力比 / PAPR低減 |
Research Abstract |
複数のアンテナ素子を有するMIMO(Multi-Input Multi-Output)通信システムにおいて、送信電力増幅器の電力利用効率を改善するには、増幅すべき送信信号のピーク対平均電力比(PAPR)を低減する必要がある。本研究課題では、マルチキャリア伝送、ベクトル符号化伝送、シングルキャリア伝送などを対象として、送信ピーク電力を考慮したMIMO信号処理技術を開発することを目的とする。本年度は、送受信機の双方において適応信号処理を行うMIMO符号多重システムとして、MIMOベクトル符号化(MIMO-VC: MIMO Vector Coding)方式に着目し、MIMO-VCにおける符号ベクトルの直交性に影響を与えることなくPAPRを抑圧する技術を開発した。提案方式は、MIMO-VCにおける符号ベクトルの位相係数を制御することでPAPRを低減するとともに、受信側では誤り訂正復号の性質を利用することで冗長なサイド情報を用いることなく元の情報を復元するものである。種々の伝搬路環境下における提案方式の基本特性などを明らかにし、有効性を確認した。また、BER最小化およびスループット最大化規範に基づく適応変調方式と併用することで、PAPRを低減しながら良好な伝送特性を達成できることを示した。単一および複数ユーザーのMIMO-OFDMシステムに、サブキャリア位相制御により送信信号のPAPRを低減し受信機において位相制御量を推定する方式を適用し、その特性を明らかにした。多値変調を用いるMIMO-OFDM信号に対しても有効であることを示した。MIMO通信システムにおける低PAPRのシングルキャリア信号として定包絡線の位相変調信号を仮定し、受信機におけるMIMO信号処理方式を検討した。量子化誤差などの受信機のアナログ回路における劣化要因を考慮した受信方式を開発し、その有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題であるMIMO通信システムの送信ピーク電力を考慮した信号処理技術として、課題解決に有効な方式を示すとともに、その基本特性を明らかにした。この他、本研究課題に関して下記の成果を得ており、それらの内容を今後、発表予定である。(1) MIMOシステムにおいて多値変調信号の最上位ビットを制御してPAPRを抑圧する手法を開発し、その基本特性を明らかにした。(2) MIMOシステムにおける送信信号の瞬時ピーク振幅値を打ち消すピークキャンセル手法を提案し、PAPR低減に有効であることを明らかにした。以上の成果を得ており、研究目的の達成に向けて順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(2年目)は以下の方針で研究を推進する。提案技術の改良により特性の改善を図るとともに、電力増幅器の非線形歪み補償等の技術と併用する場合のMIMOシステムの特性を明らかにする。複数ユーザーを有するMIMO通信システムにおける提案技術の有効性を示す。MIMO信号処理技術の改良を図る。本研究により得られた結果をまとめて、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題に関する調査研究および研究成果の国内外への発表のための、旅費、学会参加費、論文掲載費用などとして用いる。本研究課題に関する文献、計算機関係の消耗品などを購入する。
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Research Products
(6 results)