2011 Fiscal Year Research-status Report
ワイドバンド通信システムにおけるI/Qインバランスのブラインド補正に関する研究
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23760342
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 海 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40336805)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | IQインバランス / ブラインド推定 |
Research Abstract |
本研究はワイドバンドダイレクトコンバージョン方式受信機におけるI/Qインバランス補正について、単一実数フィルタ(SRVF)補正構造に対応する補正係数推定のブラインドアルゴリズムの開発を研究目的とする。 I/Qインバランスが発生した場合、通常ゼロである信号のコンプリメンタリー自己相関関数(CACF)が値を持つことから、受信信号のCACFから、補正係数の推定が可能となる。しかし、既存の推定アルゴリズムは初期値とステップサイズに強く依存し、さらに複雑な更新計算を必要とするため、実用化には不向きである。本研究は、SRVF特有の構造に着目し、係数推定は同定問題に置き換える新たな推定法を提案した。提案法は、補正係数を解析的に求めるものであり、計算負荷が大幅に軽減され、さらにより良い補正性能が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間領域I/Qインバランスの補正構造においては、SRVF構造は最もシンプルなものである。本研究では、QブランチにSRVFを置く、補正にかかる計算量が少ない補正構造に着目し、係数推定は周波数選択性I/Qインバランスに対応する差分フィルタの同定問題に置き換える新たな推定法を提案した。また、シミュレーションにより、提案法の有効性と補正性能の改善を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の提案法は周波数選択性I/Qインバランスに対応する差分フィルタが最小位相であることを前提とする。すなわち、IとQブランチの信号の自己相関関数(ACF)からフィルタの振幅特性を計算し、最小位相フィルタのインパルス応答を求めた。 次年度はブランチの信号にオーバーサンプリング手法を導入する。オーバーサンプリングされた信号のACFとCACFの数学表現式を整理し、行列化する。さらに、サンプリングタイミングの違いにより信号を分離し、信号間の相互相関関数を考察する。これらのACF、CACF、相互相関関数を用いることにより、よりロバストな推定アルゴリズムを提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度はデジタル回路作成に当たって、高速信号処理ボードを購入する予定である。消耗品としては、数本の論文を掲載することから、論文別刷費を計上したものである。また、旅費に関しては、数回の国際学会への参加及び毎年二回の国内開催の学会への参加を想定し、国内旅費及び外国旅費を計上したものである。シミュレーションおよび回路制作において,数名の実験補助者(大学院生)を雇い挙げる予定であり、またコヒーレント光通信システムシミュレーションについては外部の専門家による知識提供を受けるため、謝金を計上している。
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Research Products
(5 results)