2012 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドバンド通信システムにおけるI/Qインバランスのブラインド補正に関する研究
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23760342
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 海 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40336805)
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Keywords | IQインバランス / ブラインド推定 |
Research Abstract |
本研究は、低コストかつ高品質のワイドバンド受信機の設計を目指すものであり、特に、安価な回路部品が引き起こす回路歪みであるI/Q インバランスについて研究を行い、現行の通信システムに応用可能なデジタル補正方法を開発する。 ワイドバンド受信機では、局部発振機の誤差を起因とした周波数非選択性I/Qインバランス以外に、ブランチ毎に設置されたフィルタなどアナログ部品の特性の違いにより、周波数選択性I/Qインバランスも発生する。本研究では、Qブランチに単一実数フィルタ(SRVF)を置く、補正にかかる計算量が少ない時間領域の補正構造を採用し、特定の通信規格に依存しないブラインド補正法を目指した。本研究は、SRVF特有の構造に着目し、I/Qインバランス補正構造の係数推定を差分フィルタの同定問題に置き換える新たな推定法を提案した。提案法は差分フィルタが最小位相である条件を示し、この条件が通常のRFフロントエンドに適していることを証明した。また、差分フィルタの振幅特性を二つブランチ信号の自己相関関数(ACF)から求め、最小位相であることを利用し、差分フィルタを同定した。さらに、外部環境などの影響でフロントエンド性能が著しく劣化し、すなわち、差分ファイルが非最小位相の場合、オーバーサンプリング手法を導入し、相互相関関数の特性も用いることにより、解析的に差分ファイルを求めた。提案法は、補正係数を解析的に求めるものであり、計算負荷が大幅に軽減できる。 本研究の結果から、推定段階と補正段階両方に非常に少ない計算量のI/Qインバランスの補正法が得られ、さらに提案法は通信規格に影響を受けないブラインド法のため、応用範囲が広く、低コスト、高品質のワイドバンド受信端末の実現に向けての意義が非常に多大である。
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Research Products
(4 results)