2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760344
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
三好 匠 芝浦工業大学, システム工学部, 教授 (40318861)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / ピア・ツー・ピア / トラヒック分析 / トラヒック制御 / 映像配信 / 自律分散 |
Research Abstract |
今年度は,(1)P2P型映像配信サービスのトラヒック解析と(2)P2P型映像配信サービスの通信機能の挙動分析を実施した. (1)では,P2P型映像配信サービスとしてPPStreamとSopCastを利用し,400kbps程度の動画を視聴したときのトラヒック分析を,日本とフランスの両国において実施した.また,高速にチャネル切り替えを行う「ザッピング」発生時のトラヒック分析も実施した.分析の結果,PPStreamでは,動画視聴中に接続先ピア数が50以上になり,ザッピング時には200程度まで増加することが分かった.また,通信スループットは瞬間的に10Mbps程度にまで上昇することが分かった.一方,SopCastでは,接続先ピア数は20から50程度,通信スループットは最大で6Mbps程度となることが分かった.また,ザッピングの影響をほとんど受けないことも分かった. 以上のように,映像視聴中には同時に20から100程度のピアに接続してデータを受信しているが,接続先ピアの所在地を確認したところ,接続先に地理的局所性はなく,様々な国からほぼランダムにデータを受信していることが分かった.そこで(2)では,P2P型映像配信サービスの通信機能の挙動分析として,他国のピアとの通信に追加遅延時間を挿入する手法を提案し,性能評価を行った.他国のピアとの通信に100ミリ秒から2秒までの追加遅延を挿入した結果,日本国内のピアとの通信比率が増加することが分かった.このことから,追加遅延を挿入することによって,P2P映像配信サービスにより生じるトラヒックを制御し,国際回線を通過する他国との通信トラヒックを削減できることが明らかとなった.なお,同じ実験をフランスでも実施したところ,日本で実施した場合と同じ結果が得られている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり,(1)P2P型映像配信サービスのトラヒック解析と(2)P2P型映像配信サービスの通信機能の挙動分析を実施し,所望の研究成果を得ることができた.よって,本研究はおおむね順調に進展していると判断できる. 研究業績は以下のとおりである.(1)の研究成果として,国際会議1件(WTC2012,2012年3月),国内研究会1件(電子情報通信学会CQ研究会,2011年7月)の発表を実施した.(2)の研究成果として,国内研究会1件(電子情報通信学会NV研究会,2011年11月),国内大会3件(電子情報通信学会総合大会,2012年3月),学生発表会1件(電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会,2012年3月)の発表を実施した.また現在,国際会議論文1件が投稿中であり,ジャーナル論文の投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり,平成24年度は,(2)P2P型映像配信サービスの通信機能の挙動分析を継続する.現在のところ,追加遅延を挿入することでP2Pトラヒックの制御に成功しているが,より効率的なトラヒック誘導方式の検討を行う.また,ゲートウェイルータにおいて,P2P通信フローを自動的に認識・判定するための機構について研究調査を実施する. 平成25年度は,P2P通信制御を行うルータ間での協調動作を実現するためのシステム開発を実施する.そして,P2Pトラヒック制御システムの全体設計を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
P2P型映像配信サービスの通信機能の挙動分析を効率的かつ重点的に実施するため,また提案する自律分散型P2Pトラヒック制御システムを実装するため,平成24年度も3台程度のPC購入を予定している.すでに購入して利用中のPCと並行して分析を進める.また,研究成果発表と研究打合せのため,国外出張と国内出張をそれぞれ3回以上予定している.通信機能の挙動分析,及び提案システムの実装のため,アルバイト代を支出予定である. なお,平成23年度予算は当初3割削減と言われたため,それに合わせた予算執行を心掛けた.これにより,次年度使用額(374,261円)が発生した.この分は平成25年度に使用予定である.特に,研究成果発表のための論文掲載料や国外出張費に充てる予定である.
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