2012 Fiscal Year Research-status Report
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23760366
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崔 森悦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (60568418)
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Keywords | 干渉計測 / 位相変調 / 光周波数制御 / 光空間周波数 / 空間光変調 / 多波長干渉計 |
Research Abstract |
従来の干渉計測法では数ナノメートルの精密な計測が可能な技術の場合は測定範囲が限られ、測定範囲が広い計測の場合は測定精度が限られてしまい、用途によって干渉計測の種類を使い分ける必要があった。特に、数mm以上の広い範囲で数nmの精度を持つ形状計測手法の実現には広帯域な光源とその光源の自由な周波数走査が必要であり、その要件を満たすことは容易ではなかった。本研究では、これらの要件を満たす技術として、光コム干渉法を提案し、その原理を継承しつつされに発展させることで、様々な用途での高精度広範囲高速な計測が可能な手法を開発することを目的としている。 これらの目的を実現するために、当該年度では、以下の二つの研究を並列に行った。 ①空間周波数変調型コム発生器のプロトタイプを制作し、前年度の基礎実験結果を踏まえガラス薄膜の表裏面の表面形状及び光学的厚さ分布計測を行った。 ②液晶型空間光変調(SLM)を用いた新しいコム発生器を試作し出力光の周波数特性を調べ、機械的可動部の無い電子的な制御によって多波長成分の周波数間隔走査と中心周波数走査が可能であることを実験によって示した。 これらの研究成果により、数mm以上の広い範囲で数nmの精度を持つ形状計測手法の実現のために必要不可欠な干渉位相及び干渉振幅の独立的な制御が可能であることが示され、さらに実際の計測へ適用が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、以下の二つの研究を並列に行った。 ①空間周波数変調型コム発生器のプロトタイプを制作し、前年度の基礎実験結果を踏まえ厚さ20μメートルのガラス薄膜の表裏面の形状及び光学的厚さ分布計測を行った。 ②液晶型空間光変調(SLM)を用いた新しいコム発生器を試作し出力光の周波数特性を調べ、機械的可動部の無い電子的な制御によって多波長成分の周波数間隔走査と中心周波数走査が可能であることを実験によって示した。 ①の研究では、空間周波数マスクを精密な金属板加工により新たに制作し空間軸の走査によって、コム光の周波数間隔と中心周波数を走査することができる光源を実現した。この光源からの出射光をマイケルソン型干渉計に入射し、ガラス板の形状を計測することができた。実験では、中心波長865 nm、帯域約35 nm、981~2143GHzまでコム間隔を掃引可能な光コムが生成され、正弦波位相変調法を適用した干渉計により干渉位相及び振幅を測定した。1次及び2次の干渉振幅と位相分布の変化をもちいてガラス板の断層形状を測定し、中心周波数走査による独立的にな干渉位相のシフトを生じさせオーバラップにより分離が困難な表面と裏面の干渉振幅形状を分離して検出することができた。これらの実験の成果は、中国北京で開かれたSPIEの国際学会及び、東京で開催された光波センシング技術研究会で発表された。 ②の研究では、SLMを用いて多波長光源を実現した。実験では、先ず、単一波長を透過させ、強度変調、SN比などの基礎的な特性を確認し、単一の波長走査が可能であることが示された。次に、光コムを生成し、周波数間隔の走査を行った。周波数間隔は0.29THz~2.43THzまで約61GHz刻みで変化した。生成した光コムを用いることで、周波数間隔の走査によって約120~400μmまでの範囲を30μm以下の刻みで計測できることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、以下の二つの研究を並列に行った。 ①空間周波数変調型コム発生器のプロトタイプを制作と応用計測実験 ②液晶型空間光変調(SLM)を用いた新しいコム発生器を試作と光源の周波数走査実験 それぞれの研究において、以下の解決すべき課題が考えられる。 ①における課題は、空間周波数マスクの制御の自動化と2次元並列化が必要である。今までの実験において、空間周波数マスクは手動で可動していたため、正確な位置制御ができず周波数走査の精度に疑問があった。今後は、自動ステージとパソコンによる制御系を導入しより正確な作動を目指す。 ②における課題は、出力強度の増大と実際の干渉計測への応用可能性の追求である。用いる強度変調方式は偏光制御型であるため出力光が弱くなる弱点がある。各素子の波長特性と光学軸の調整及びハイパワーな光源が必要になる。また、来年度までに干渉計測への適用実験を行うことが必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①の遂行のために、自動ステージとパソコンによる制御系のソフトウェア―一式を購入する予定である。 ②の遂行のために、干渉計と空間周波数制御のためのレンズ系を構成する光学素子や微動台の購入を予定している。
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Research Products
(9 results)