2012 Fiscal Year Research-status Report
雷空電の球面波伝搬効果解明とポータブル雷モニタへの応用展開
Project/Area Number |
23760367
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (70422649)
|
Keywords | 自然電磁波 / サーチコイル磁力計 / 広帯域化 |
Research Abstract |
本年度は、極近距離雷(10 km圏内)から放射された電磁波と超音波の観測による落雷位置推定のフィールド実験、及び広い周波数帯(数Hz~数MHz)にまたがる雷空電に対して、小型電磁界センサの一種であるサーチコイル磁力計の広帯域化について改良を行った。極近距離から放射される雷空電は、位置推定に必要な電離層からの反射波の時間差が得られない。このため本研究では電磁波以外の情報として超音波と電磁波の時間差を考えた。超音波と電磁波の時間差は、両者の到来方位が一致する場合を対象とする。このため、基礎実験として、雷から放射される超音波の到来方位を推定するために、6個の超音波センサのアレイを開発し、電磁波と超音波の到来方位の同時推定実験を行った。 一方で、近距離の雷空電を対象とする際、伝搬距離が短いため数十kHz以上の電磁波の減衰の影響が軽減され、電磁界センサの広帯域化が重要なシステム開発要素の一つとなる。従来のサーチコイル磁力計は、一つのコイルの共振周波数(数kHz)をもち、これによりセンサ感度および周波数帯域が決まり、1 MHz程度までの広帯域化は困難であった。本研究では、数kHzと100 kHz付近に共振特性をもつ二つのコイルをコンデンサにより容量性結合し、さらに磁性体コアを共有させることで、ある周波数帯では誘導性結合も伴うような新しいサーチコイルを開発した。特に誘導性結合において、負の相互インダクタンスの影響により、コイルの浮遊容量をキャンセルできることがわかった。これにより、二つの共振点を作ることができ、1 MHzまでの広帯域な感度特性を有するサーチコイルを新規に開発することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、電磁波と超音波を用いた落雷位置推定法の実験に加え、近距離の雷電流の推定に重要な雷放電の特徴量を検出するためにサーチコイル磁力計の広帯域化を図ることができた。特にサーチコイル磁力計の広帯域化は、一組のセンサと増幅回路で二つの共振点を実現し広帯域化を図った。このサーチコイルは、雷空電観測だけでなく地球周辺で観測されるプラズマ波動観測用としても十分な性能を有していることも確認できた。このため、科学衛星搭載用交流磁界センサとしての応用も期待できるものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を集約し、雷空電の一地点観測情報から100 km圏内の雷活動をモニタできる小型軽量な単体システム開発のための技術指針を明らかにする。特に大幅なシステムの小型化のため、回路のASIC化についても検討を行いたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(3 results)