2011 Fiscal Year Research-status Report
磁気ナノ粒子のブラウン緩和を用いた迅速・高感度なバイオ免疫センサの開発
Project/Area Number |
23760369
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (30380588)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 磁気ナノ粒子 / ブラウン緩和 / ニール緩和 / 磁気モーメント / 磁化 / 粒径分布 |
Research Abstract |
磁気ナノ粒子のブラウン緩和を用いた迅速・高感度なバイオ免疫センサの開発に必要な以下の2つの項目の研究開発を行なった。(1)磁気マーカー特性の定量的解明ナノ粒子の凝集体から構成される磁気マーカーを免疫検査に応用するためには凝集体の磁気特性の定量的な評価が不可欠となる。また,実際の磁気マーカーの粒径は分布しており,その結果,緩和時間(ブラウン緩和,ニール緩和)及び磁気モーメントが分布し,免疫検査においては,信号となる磁気マーカー(ブラウン緩和が支配的なマーカー),信号にならない磁気マーカー(ニール緩和が支配的なマーカー)が存在することとなる。本研究では,磁気マーカーの交流磁化率,磁気緩和時間,磁化(M-H)特性の測定を行い,磁気マーカーの粒度分布,粒子サイズと磁気モーメントの関係,緩和時間と磁気モーメントの関係を明らかにし,免疫検査における磁気マーカーの定量的評価法を確立した。(2)迅速・高感度な液相免疫検査法の開発 (1)での磁気マーカー特性の定量的解明の結果を基に,MRセンサを用いた磁気緩和測定法によるB/F分離不要な迅速な免疫検査法の開発を行った。磁気緩和測定法は,試料の磁化,緩和,検出の3つの機構で構成されており,結合,未結合マーカーのブラウン緩和時間の違いから,結合マーカーからの信号のみを検出する検査法である。本研究では,両者を高度に識別し,結合マーカーのみを高感度に検出するための最適な磁化機構(磁界強度,磁化時間),緩和機構(緩和時間),検出法を開発し,0.38 fmol/mlの高感度検出を可能とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気マーカーの定量的評価法の確立,基本的な磁気的免疫検査システムの開発を行い,おおむね研究実施計画通りに実施することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして,MRセンサを用いた磁気的免疫検査システムの開発を行う。 MRセンサを用いた磁気的免疫検査システムの開発を行い,実際の免疫検査実験により本手法の有用性を実証する。また,10程度の試料の検出実験を行い,本システムにより多試料の迅速・高感度検出が可能なことを実証する。また,これら実験結果を「磁気マーカー特性の定量的評価法」へフィードバックし,結合マーカーと未結合マーカーの磁気的識別の更なる高度化を達成すると共に,本システムの定量性,信頼性を確立する。また,平成23年度は,磁気マーカーの特性評価法の開発を行ったが,数種類の代表的な磁気マーカーに対してのみ行ったため,助成金の翌年度使用が生じた。平成24年度では,様々な磁気マーカーに本手法を適用し,この評価法の信頼性,高度化を達成する必要がある。そのための研究費の使用計画を「次年度の研究費の使用計画」に示す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(磁気マーカー材料費,計測用電子部品等):610千円旅費(国内・海外研究成果発表,資料収集等):500千円人件費・謝金(実験補助):100千円その他(論文投稿料等):200千円
|