2012 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ナノ粒子のブラウン緩和を用いた迅速・高感度なバイオ免疫センサの開発
Project/Area Number |
23760369
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉田 敬 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (30380588)
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Keywords | 磁気ナノ粒子 / ブラウン緩和 / ニール緩和 / 磁気モーメント / 磁化 / 粒径分布 |
Research Abstract |
免疫検査は血液中に含まれる疾患由来の蛋白質や病原菌などのバイオ物質を抗原―抗体の結合反応を用いて検出する方法であり,バイオ計測において基盤となる検出法である。本研究では,溶液中での磁気マーカーのブラウン磁気緩和特性を用いた迅速・高感度なバイオ免疫センサを開発した。得られた主な成果は以下の通りである。 1.磁気マーカー特性の定量的解明 ナノ粒子の凝集体から構成される磁気マーカーを免疫検査に応用するためには凝集体の磁気特性の定量的な評価が不可欠となる。また,実際の磁気マーカーの粒径は分布しており,緩和時間(ブラウン緩和,ニール緩和)及び磁気モーメントが分布し,免疫検査においては,信号となる磁気マーカー(ブラウン緩和が支配的なマーカー),信号にならない磁気マーカー(ニール緩和が支配的なマーカー)が存在することとなる。本研究では,磁気マーカーの交流磁化率,磁気緩和時間,磁化(M-H)特性の測定を行い,磁気マーカーの粒度分布,粒子サイズと磁気モーメントの関係,緩和時間と磁気モーメントの関係を明らかにし,免疫検査における磁気マーカーの定量的評価法を確立した。 2.迅速・高感度な液相免疫検査法の開発 磁気マーカー特性の定量的解明の結果を基に,MRセンサを用いた磁気緩和測定法によるB/F分離不要な迅速な免疫検査法の開発を行った。磁気緩和測定法は,試料の磁化,緩和,検出の3つの機構で構成されており,結合,未結合マーカーのブラウン緩和時間の違いから,結合マーカーからの信号のみを検出する検査法である。本研究では,MRセンサのセットリセットを用いた低雑音化,磁気シールドによる高感度化を達成し,ビオチン検出感度20 amol/ml以下を可能とした。
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