2012 Fiscal Year Annual Research Report
環境ガス計測を目的とした位相同期型QCMセンサの開発-サブピコグラム検出への挑戦
Project/Area Number |
23760373
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
今池 健 日本大学, 理工学部, 助教 (10548093)
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Keywords | QCM / 水晶振動子 / PLL |
Research Abstract |
数ng以下の付着物質の質量を検出できるQCM(水晶振動子微量秤)の性能向上のために,位相同期型QCM(以下PL-QCMと略す)の提案とその特性について研究を行った. 従来のQCM方式は,質量変化を水晶発振器の周波数の変化として,検出するものであったが,PL-QCMは,1枚の水晶板上に2組の電極対を作製した振動子を使用して2台の水晶発振器を構成する.この2台の発振器でPLLを構成することにより,両発振器の発振周波数は常に同一となるよう動作する.ここで,片方の振動子上で質量変化が起こると,PLLによって周波数差を補正するために制御電圧が変化するため,PL-QCMでは,それを検出し質量変化に換算する.まず,質量変化がどの程度の電圧変化として検出されるか検討を行った結果,1ngの質量変化を数Vの電圧変化として検出可能な事を明らかにした.次に,実際にPL-QCMを作製しその検出感度について検討を行った.PL-QCMを実現するためには特性の揃った2つの振動子を1枚の水晶板上に作る必要があるが,使用可能なレベルで特性を揃えることを可能にした.後に質量が付着した状態を擬似的に再現するため,一方の発振器の周波数を低下させ実証実験を行った.結果,発振周波数の低下,すなわち質量変化を制御電圧の変化として検出可能な事を明らかにした. また,検出の感度・精度をより向上させるために,より高周波で発振させ,振動子の電極を大面積化する事が有効となるが,これにより電極間容量が増大し振動子として機能しなくなることが予想されたため,振動子の電極間容量をキャンセルする手法を提案し,実際に発振不可能な条件の振動子でも,発振可能となることを実証した.これは,QCMを水中で使用する場合の技術的問題点を解決するのみならず,GHz帯の水晶発振器をより高周波化する際にも応用可能な技術であり非常に重要な成果を得るに至った.
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Research Products
(4 results)