2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760377
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菊永 和也 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 研究員 (10581283)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 帯電 / 音波 / 電磁界 / 計測技術 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では帯電の二次元可視化に向けて、開発した帯電計測技術の技術的基盤を確立することが重要である。本年度は帯電体振動法について、その関連パラメータの関係について検討を行った。その関係を基に音波照射方法、電界の誘起・検出方法の最適化を行い、帯電体振動法を用いた帯電計測の最小量を追及した。まず、音波照射によって振動させた帯電フィルムから誘起される電界に関連するパラメータとその関係を広範囲で調べるために音響システム、レーザー変位計、オシロスコープ、ロックインアンプ、アンテナ、表面電位計を組み合わせた統合自動計測システムの開発を行った。それを用いて電界強度と表面電位の関係を調べたところそれらが比例関係であり、電界強度を測定することで帯電の定量的評価が可能であることを明らかした。次に、帯電させたフィルムにおいて照射音波の周波数を変化させながら電界の周波数依存性を測定したところ、照射した音波と誘起された電界の周波数が同じであることが分かった。また、50Hz以下の低周波ではその基本周波数の2倍や3倍の高調波が観測された。より詳細に検討するためにフィルムの振動を測定したところ、50Hz以上では比較的正弦波に近い振動をしていたのに対して、50Hz以下の低周波側ではパルスに近い振動をしていた。これより音波照射によって誘起される電界は帯電している電荷が空間的に振動したことを反映していることが分かった。このことから照射する音波はパルス応答よりも共振周波数を用いた方が誘起電界を効率的に発生させられることができることを明らかにした。さらに電界測定に用いているモノポールアンテナにおいては、そのロッド長が長い方が電界を効率よく検出でき、ロッド長が20cm程度で飽和し始めることが分かった。これらの条件を最適化して測定距離1cmにおいて、表面電位が10V以上の帯電が検出可能なシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的は、独自に開発した帯電体振動法の技術基盤の確立である。その中で関連する5次元のパラメータを広範囲かつ効率的に評価するために、音波発生システム、電界計測システムと帯電評価システムを組み合わせた統合自動計測システムの開発に成功した。これより広範囲な条件を総合的に評価することができ、帯電を定量的に評価できることを見出した。さらに自動計測システムを用いることで、効率的に音波照射方法や電界の誘起・検出方法の最適化を行うことができた。これによって10V以上の帯電が検出可能なシステムの開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、空気中において十分な音圧が得られる集束音波とその走査が可能な音響システムを開発する。空気中で比較的音圧が得られやすい可聴周波数だけでは、局所的音波が得られないため、超音波と可聴以下の周波数を組み合わせた合成音波を用いる。また、音波を集束させ、それを走査させるために電子フォーカス手法を用いてパラメトリック音響システムを開発する。平成23年度で得られた帯電体振動法の知見と音波照射・電磁界計測に関するノウハウを基に、集束音波の走査方法、電界計測方法、装置構成の最適化を行い、帯電二次元分布可視化計測システムを開発する。さらに既存のセンサを用いた帯電評価システムも開発し、帯電二次元分布可視化計測システムで得られた分布に関して帯電の位置と量を比較することで、本研究で開発したシステムの優位性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、集束音波走査技術を用いた帯電二次元分布可視化計測システムを開発する。まず、直径1cmの超音波振動子を数百個用いて、1~2cmの集束音波と被検体を振動させるのに十分な音圧を得られる超音波振動子アレイを試作する。さらに、空気中で十分な音圧が得られるように各超音波振動子の位相を制御するシステムを作製することで、集束音波とその走査が可能なパラメトリック音響システムを開発する。これを帯電体振動法と組み合わせることで帯電二次元分布可視化計測システムを開発する。続いて、開発したシステムで得られた帯電分布に関して帯電の位置と量を比較するために既存の表面電位計を用いた平面帯電評価システムを開発する。
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Research Products
(8 results)