2011 Fiscal Year Research-status Report
柔軟な足裏の変形から生み出される感覚運動協調に基づく動歩行制御
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23760381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大脇 大 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40551908)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 柔軟足 / 動歩行制御 / 感覚運動協調 |
Research Abstract |
本研究の目的は,柔軟な足裏の変形から生み出される良質な感覚運動情報を活用することで,脳・神経系,身体および環境から構成される直積空間内に広大な引き込み領域を有する安定なリミットサイクルを生起し,実環境下においてリアルタイムで適応可能な歩行運動を発現させることにある.この目的のため,本年度においては,(1) 柔軟な足裏の変形から生み出される感覚情報を効果的に活用する制御則の構築,および(2) 制御則の妥当性を検証するための二脚歩行ロボットの開発を行った. 具体的には,ヒトの筋骨格構造を参考に,柔軟な変形を可能とする足部の骨格モデルを有する動力学シミュレータを構築した.また,位相振動子をベースとし,足部からの感覚情報をフィードバックすることで,歩行のリズムを調整する歩行パターン生成器モデルを提案した.シミュレーションの結果,安定かつ継続的な歩行,静止状態から歩行状態への遷移が確認された.さらに平地から斜面上へと環境が変化した際の環境適応性,歩行中に外乱を印加した際の頑健性についても,提案する歩行制御モデルによってパフォーマンスが向上する結果が得られた.柔軟な足裏から生み出される感覚情報を制御系にフィードバックし,歩行リズムを調整することで,優れた環境適応性や頑健性が発現する結果が得られた.さらに,実世界環境下における検証のため,二脚ロボット実機を開発し,提案する制御則の検証実験を行った.提案する制御則を用いることによって,安定かつ継続的な歩行が実世界においても確認された.さまざまな初期条件に対して約70%の成功率で100歩以上の継続的な歩行が可能であった.これらの研究業績として,国内会議1件,国際会議2件の発表を行っている.また,本年度において,国内会議1件,国際会議1件の発表を予定している.さらに,現在これまでの成果をまとめた学術論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において,足裏の感覚情報を活用する制御則と実機ロボットを用いた実世界環境下での検証が完了している.これらの成果は,次年度の研究を推進する上でのプラットフォームとなるため,今後の進展へとつながる重要な基盤である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ヒトの皮膚構造を模擬した足部機構を開発する予定である.これまで提案した制御則および二脚ロボット実機をプラットフォームとし,新たに開発する足部機構から獲得される感覚情報を効果的に活用する制御則を構築し,そのロボット実機への適用性について検証を行う予定である.さらにこれらの結果に基づき,柔軟な足部の変形に基づく感覚情報処理メカニズムの理論的考察を行うとともに,感覚運動協調に基づく適応的運動生成メカニズムを解明することを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成24年度請求額とあわせ,次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である.
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