2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ゆらぎを考慮した細胞周期におけるタンパク質ネットワーク推定法
Project/Area Number |
23760382
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
東 剛人 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60308179)
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Keywords | システムバイオロジー / システム制御 / 細胞周期 / タンパク質ネットワーク |
Research Abstract |
細胞周期の周期性を考慮した最小二乗法に基づくタンパク質ネットワークの推定法を提案し,さらに疑似周期信号を考慮した場合にまで拡張した.この結果により,大量のデータを必要とした最小二乗法に基づく推定が,1周期分のデータを用いることとと等価であることを理論的に示した.実際に,6個のタンパク質から構成される酵母の細胞周期における基本構造において,1周期毎の最小二乗推定値が等しいこと,十分大きなデータ数ではその推定値が1周期分のデータ数からの推定地に漸近していくことを,数値シミュレーシ ョンで実証した. 次に,細胞内ゆらぎを含む細胞周期のタンパク質ネットワークを確率微分方程式として記述し,細胞内ゆらぎを含む細胞周期のタンパク質ネットワーク推定を行った.細胞内ゆらぎが大きくなるにしたがって,タンパク質ネットワークの推定が困難となることが判明した.そこで,部分空間同定法に基づいた新しいタンパク質ネットワーク推定法を試行した. また,推定されたタンパク質ネットワークを非線形微分方程式として記述し,その感度方程式および周期感度を導出して,ロバストネス解析を行った.その結果,推定されたタンパク質ネットワークには細胞周期のロバストネスを低下させるものが存在することを示した.ロバストネスを低下させるネットワーク結合の存在を示唆することは,がん細胞の増殖を劇的に弱める抗癌剤への創薬などへの応用が期待できる成果である. さらに,細胞周期における既存の9次元タンパク質ネットワークと本研究課題で提案したタンパク質ネットワーク推定法に基づいて推定した10次元および11次元タンパク質ネットワークのロバストネス解析を行った結果,新たに推定した11次元タンパク質ネットワークのロバストネスが高いことを示した.
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