2012 Fiscal Year Annual Research Report
情報論的制約下におけるマルチエージェント合意問題に対する確率アルゴリズムの構築
Project/Area Number |
23760385
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 秀明 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50376612)
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Keywords | 制御工学 / 分散型アルゴリズム / マルチエージェント合意 |
Research Abstract |
本研究では,システム制御の分野で注目されているマルチエージェント系の協調制御のうち,合意問題に焦点をあてる.エージェント間の情報論的な制約が厳しい場合を扱い,極力少ない通信で合意を達成するアルゴリズムの構築を目的とする.今年度は,マルチエージェント系における重要な応用である無線センサネットワークや移動型ロボット群に関連した課題に新たに取り組んだ.また昨年度に引き続き,PageRank 問題に対する分散的計算手法,および不確かさを有する制御系における通信制約に関する研究も行い,有益な成果を得た.主な結果は以下の3つにまとめられる. ① 無線センサネットワークにおける時刻同期問題に対する分散的な手法を考案した.とくにセンサノード間で情報交換を行う際に一定の条件を設けることで,通信量を抑制できる合意問題をベースとした分散型アルゴリズムとなった. ② ネットワーク化制御における基本的な結果である最小通信レート問題に関して,不確かさを持つシステムを扱った.従来研究よりも低い通信レートで安定化が可能であることを示した.関連して,量子化制御における量子化器の粗さに注目し,不確かさを有するシステムに対する結果を得た. ③ 本グループが提案してきた PageRank 計算に対する分散型確率アルゴリズムにおいて,エージェント間の時刻同期を要しない手法を考案した. 主に理論研究を進めたが,有効性の検証はシミュレーション実験を通じて行った. 今年度は以上の結果の一部を,American Control Conference (6月,Montreal),IEEE Conf. Decision & Control (12月,Maui USA),計測自動制御学会 第41回制御理論シンポジウム(9月,葉山),第13回制御部門大会(3月,福岡),自動制御連合講演会(11月,京都)などで発表した.
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