2013 Fiscal Year Annual Research Report
階層的モード分割に基づくマルチスケール行動モデルの構築と応用
Project/Area Number |
23760389
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥田 裕之 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90456690)
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Keywords | 行動モデル / ハイブリッドシステム |
Research Abstract |
本研究では、人間の行動の特徴の一つである動作の階層性に着目し、抽象化レベルを可変とした階層的なモード分割構造を有する行動表現を可能とする「マルチスケール行動モデル」の創出を目指し研究を行っている。本年度は、階層的な行動モデルを構築する際に大きな問題となったモデルの複雑さを解決するために、モデル選択手法の導入に注力した。 当初の研究計画では、人間の内部状態を表す生体信号を観測信号として加えることで、より明確な階層構造の構築をめざすとしていたが、行動信号に加えて環境信号、生体信号と複数の情報を利用するにあたり、モデル中に含まれるパラメータが膨大になることに伴い、行動モデル構築の際のモデル精度の向上が困難となることが明らかとなった。そこで、モデルを構築する際に、行動を記述するために必要な入出力関係のみを抽出し、パラメータを削減するため、情報量に基づくモデル選択手法をマルチスケール行動モデルに適用する手法の確立を目指し、研究を進める事とした。 具体的には、マルチスケール行動モデルにおける①各モードのダイナミクスを記述する際のモデル選択問題と、②モードを切り換えるための判別条件を記述する際のモデル選択問題、の二つを解決する必要があった。①の問題に対しては、あらたに、モードごとに回帰変数の次元が異なるハイブリッドシステムモデルを提案、その同定手法を確立することで、モデルの記述能力をできるだけ落とさず、パラメータ数を大幅に削減することができた。②の問題に対しては、問題を簡単化してモードの切り換えの生起確率をモデル化する際の変数選択問題を考え、実行動データに対して適用することで行動決定のために重要な変数のみを抽出し、パラメータ数の少ない判断モデルを構築した。 ただし、これらの結果を利用して生体信号を取り込んだマルチスケール行動モデルの構築には至っておらず、今後の継続研究が望まれる。
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