2011 Fiscal Year Research-status Report
鉄筋腐食の生じたRC部材への合理的な補修補強方法の提案と再劣化現象の検証
Project/Area Number |
23760402
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
上原子 晶久 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (70333713)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 連続繊維シート / 断面修復 / 補修 / 補強 / 再劣化 |
Research Abstract |
本研究では,鉄筋腐食の生じた鉄筋コンクリート(RC)部材を連続繊維シートで補強した構造物を対象にして実験と解析を行った.概要は次の通りである.まず,主筋の目標腐食量を,0%(無腐食・健全),3%, 10%, 30%として電食試験を行った.次に,目標腐食量が3%と10%の劣化RCはりに対して連続繊維シートにより補修と補強を行った.実験パラメータを繊維シートの種類,並びにシート補強量として作製した供試体について4点曲げ載荷試験を行った.さらに,目標腐食量が30%の劣化RCはりに対して断面修復工法による補修,ならびに連続繊維シート接着工法による補強をそれぞれ組み合わせて補修・補強を行った.実験パラメータを目標腐食量,補修・補強の有無,繊維シートの種類,並びにシート補強量として作製した供試体について4点曲げ載荷実験を行った.いずれの載荷実験終了後,主筋をはつり出し,ノギスによる鉄筋径測定や除錆後の重量測定により腐食量を測定した.得られた成果は以下の通りである.シート単体の補強実験では,ひび割れ注入を行わなくてもシートのみの補強で十分な補強効果が得られることを明らかにした.次に,シート補強と断面修復による補強実験においては,腐食量が30%程度になるとシート補強のみでは不十分で,断面修復とシート補強を組み合わせることにより十分な補強効果を得られることを明らかにした.今年度はシート補強後の再劣化現象についても検討した.その結果,アラミド繊維シートで補強した場合に,再劣化の危険性があることが明らかとなった.さらに,従来の断面解析のみでは補強後の変形能を評価することが難しいことを改めて提示した.そのため,本研究で検討している数値解析による評価が補強設計で必要となることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している実験と解析は,ほぼ,年度内で達成することができた.特に,ひび割れ注入を行わなくても,シート補強時に使用する接着樹脂がその代替となりうることを示せたことは意義が深いと考えている.今年度では,次年度に実施予定である補強後の再劣化に関する検討の一部を実施することができた.以上より,研究は当初の計画通り進展していると自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,当初の計画通り以下の事項について実施する.1.補修・補強を行ったRCはりの再劣化検証試験2.これまでの実験を再現するための3次元有限要素解析1.については,今年度実施した成果に基づき,それをさらに発展させる形式で検討を行う.2.については,これまでの経験で得られたノウハウに基づいてシートとコンクリート間の付着を適切にモデル化しながら検討を進める.一方で,今年度実施した実験で次年度に追試が必要となることも明らかとなった.これについても鋭意,検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に大きな研究計画の変更はないため,当初の研究計画通り研究予算を使用する.次年度に繰り越して使用する予算については,今年度実施した実験の追試などに使用する予定である.
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