2011 Fiscal Year Research-status Report
組織の物質移動抵抗性と化学抵抗性を考慮したフライアッシュ系硬化体の耐久性能評価
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23760403
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
李 春鶴 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80431724)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 耐久性能 / 物質移動抵抗性 / 化学抵抗性 / 遮塩性 / 炭酸化 / 細孔構造 / 組成 / フライアッシュ |
Research Abstract |
本研究は、フライアッシュを用いたセメント系硬化体の炭酸化および塩害の劣化因子としての気体・液状水・塩化物イオンの移動特性、生成物の変化に伴う移動抵抗性の変化と組成成分の炭酸化反応抵抗性および塩化物イオンの固定・分解能力を統合的に考慮し、そのメカニズムの解明をすることで、フライアッシュ系硬化体の耐久性能を定量的に評価することを目的とする。 本年度の研究においては、中長期試験の供試体の作成とともに、フライアッシュを用いた硬化体の炭酸化試験、塩化物イオンの拡散・移動試験を行い、組成物の変化を精緻に計測・分析することにより化学抵抗性を把握し、細孔構造の変化を計測分析することによる物質移動抵抗性を明らかにした。その結果、フライアッシュを置換したものは、十分な養生により、非常に緻密な細孔構造が形成され、酸素拡散係数も小さく、炭酸化抵抗性も大きいであるが、炭酸化の進行により、粗大な細孔構造の形成とともに、物質移動抵抗性が小さくなり、炭酸化抵抗性も小さくなっていることが明らかになった。さらに、このような変化は、炭酸化による生成される炭酸カルシウムの種類、形成される生成物のC/S比、シリカゲルの量などにより、細孔構造が変化し、それに伴い物質移動抵抗性や炭酸化抵抗性が異なることが解明された。合わせて炭酸化抑制効果の指標になるk値の検討も行い、フライアッシュ系セメント硬化体の炭酸化抵抗性は、化学抵抗性および物質移動抵抗性との関連性があることが示唆された。炭酸化抵抗性の評価のともに、遮塩性についても評価が可能であることが示唆されたが、十分な成果が得られなかったため、次年度に実験方法を変更して検討を続くとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定とおりの実験・分析・考察を行い、それなりの成果を収めて、学会らで発表をし始めている。ただ遮塩性については、評価の可能性が示唆されているが、十分な成果を得られなかったため、次年度にも検討を続く予定である。したがって、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
予定とおり、中期材齢の実験を行い、若材齢時の成果と合わせて検討をする。研究推進においては、予定とおりの装置、実験方法を適用する予定である。1年目の成果および経験を生かす方針もある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
総額は80万円であるが、物品費を40万、旅費を25万、人件費・謝金を5万、その他を10万円計上している。1年時に比べて旅費の比重が大きいであるが、今年度からは成果を積極的にまとめて発信するためである。
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Research Products
(2 results)