2012 Fiscal Year Annual Research Report
水分移動及び表層劣化の影響を考慮した凍結融解環境における塩化物イオン浸透予測
Project/Area Number |
23760410
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30453294)
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Keywords | コンクリート / 耐久性 / 複合劣化 / 塩化物イオン浸透性 / 凍結融解作用 / 表面含浸材 |
Research Abstract |
積雪寒冷地域におけるコンクリートは,凍結融解作用に伴う凍害劣化と融雪剤・融氷剤に起因する塩化物イオンの浸透に伴う塩害の複合劣化を受けやすい環境にある。これらの単独劣化または,塩化物イオンが供給される環境下でのコンクリートの凍結融解抵抗性に関する検討はこれまでにも多く行われているものの,凍結融解作用およびそれに伴う劣化がコンクリートの塩化物イオン浸透性に及ぼす影響について検討した例は極めて少ないのが現状である。そこで本研究では,凍結融解作用を受けるコンクリートの塩化物イオン浸透性について検討を行った。 本研究では,種々の凍結融解条件下にあるコンクリートの塩化物イオン浸透性,凍結融解作用に伴う表層劣化(スケーリング)がコンクリートの塩化物イオン浸透性に及ぼす影響および,表面含浸材を用いたコンクリートの凍結融解環境下における塩化物イオン浸透性について検討を行った。 本研究の範囲内で得られた結果をまとめると以下のようになる。 1.凍結融解環境下における塩化物イオン浸透性は,温度一定環境におけるそれと比較して高い値を示す。2.凍結融解作用に伴う表層劣化が2kg/m2程度であれば,塩化物イオン浸透性に及ぼす表層劣化の影響は少ない。3.表面含浸材を用いたコンクリートにおいても,含浸材を用いない場合と同様の傾向を示す。つまり,凍結融解環境下において,温度一定条件下よりも高い塩化物イオン濃度を示す。4.凍結融解環境においても,試験溶液濃度が高いものほど,全塩化物イオン濃度が高い値を示す。5.最低温度到達時間の増加に伴い,同一凍結融解サイクル数でのコンクリート中の全塩化物イオン濃度が高くなる傾向を示す。6.同一凍結融解サイクル数における全塩化物イオン濃度は,最低温度が-10℃のとき最大を示す。
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