2012 Fiscal Year Research-status Report
加圧熱水を用いたアスファルト混合物舗装発生材の分別再材料化技術の開発
Project/Area Number |
23760411
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加納 陽輔 日本大学, 生産工学部, 助教 (50451315)
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Keywords | 舗装材料 / 再材料化 / 骨材 / アスファルト / 再生骨材 / アスファルト混合物舗装発生材 / 再生アスファルト混合物 |
Research Abstract |
本研究は、加圧熱水を用いて、アスファルト混合物舗装発生材(以下、発生材)を破砕することなく、含有する素材(粗骨材、細骨材、アスファルト)を分別回収する新たな再材料化技術の開発を目的としている。以下に、平成24年度実施の目的、方法および成果について報告する。 【平成24年度実施の目的】 平成23年度成果より定めた回収素材の品質目標値(旧アスファルト量、含水比)を参考に、これらを満足する分別再材料化技術の条件および方法を明らかにする。 【平成24年度実施の方法および成果】 回収素材の品質目標値は、再生アスファルト混合物の品質や再利用時の経済性等を考慮して、粗骨材に残存する旧アスファルト量を1.0%以下、細骨材に残存する旧アスファルト量を1.5%以下、含水比を粗骨材、細骨材ともに0.4%以下と定めた。分別再材料化実験は、平成23年度に試作した一次処理装置(発生材を加熱・解砕し、13-5mmの骨材を分別回収する装置)および二次処理装置(5-1mmの骨材と微粒分を含有するアスファルトを分別回収する装置)を用い、前述の品質目標値を満足する条件(熱水温度、処理時間、撹拌速度)について比較検討した。ここで、各条件は平成23年度における確認実験の結果を踏まえて、一次処理、二次処理ともに熱水温度を90℃以下、処理時間を30分以内とし、一次処理における撹拌速度は回収素材の損傷を避けるため5~15Hzを目安とした。この結果、平成24年度成果として、一次処理では80℃の熱水中で20分程度撹拌することにより、発生材から旧アスファルト量が0.5%、含水比が0.3%程度の状態で粗骨材を分別回収することに成功した。なお、二次処理による細骨材に関しても、同条件下で概ね同様の成果が得られており、今後、微粒分を含有するアスファルトとともに回収素材の利活用を前提とした具体的な検討を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、分別再材料化技術の条件について、熱水温度を90℃~150℃、処理時間を30分程度に設定し、再材料化の経済性や環境負荷等を考慮した密閉加熱装置によるバッチ式技術を構想した.これは、従来装置による予備実験から、特に100℃以上の加圧熱水を用いることで、回収素材の品質が大きく改善したことによる。また、平成23年度実験では、再生アスファルト混合物の評価結果に基づいて回収素材の品質目標値を定めており、装置の一部改良とともに、平成24年度における実験条件を設定した。 以上の経緯を経て、平成24度実績では、技術的および経済的な観点から、計画以上の好条件下でこれらの目標を達成する成果(詳細は「研究実績の概要」)が得られており、この成果は平成25年度に継続する本技術の実現性と有用性を飛躍的に高めた。具体には、分別時の熱水温度を80℃、回収後の含水比を0.3%程度で実現したことにより、回収素材の変質抑制と方法・装置の簡素化、省エネルギー化、低コスト化を期待できることである。このことから、平成25年度では平成23年度および平成24年度の実績に基づいて、連続式技術としての実用化を視野に検討を進める。 以上の成果点検から、平成24年度までの達成度は当初計画以上に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成25年度実施の目的】 平成24年度実績によって得られた回収素材の性状と品質を評価し、付加価値の高い利活用方法を明らかにする。 【平成25年度実施の方法】 平成24年度実験では、ストレートアスファルトを含有した発生材を対象としており、平成25年度ではポリマー改質アスファルト等を含有した発生材を用いて応用の可能性を確認する。また、本技術によって分別回収した粗骨材および細骨材(以下、回収骨材)に対して、密度および吸水率試験(JIS A 1110、JIS A 1109)、ふるい分け試験(JIS A 1102)、ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験(JIS A 1121)等を実施し、回収骨材の性状を評価する。また、二次処理後に回収した微粒分を含有するアスファルト(以下、回収アスファルト)に対して、アスファルト抽出試験から微粒分含有量を把握し、アスファルトの回収試験(JPI-5S-31-1988)、針入度試験(JIS K 2207)、軟化点試験(JIS K 2207)、伸度試験(JIS K 2207)等を実施し、回収アスファルトの性状を確認する。さらに、以上の結果を踏まえて、回収骨材および回収アスファルトを配合したアスファルト混合物の品質をマーシャル安定度試験(ASTM D 1559-89)、曲げ試験等によって評価し、これらの利活用方法について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25度研究費は、主として実験を行うために必要な資材(骨材、アスファルトなど)および部品(装置消耗品など)等の物品費として使用する。なお、具体には以下の使途を計画している。 資材:各種骨材、ポリマー改質アスファルトII型・III型・H型、舗装発生材など 部品:電熱ヒーター、など
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