2011 Fiscal Year Research-status Report
非線形マルチスケール解析に基づく鋼橋の冗長性最大化設計
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23760416
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊木 功 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40292247)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 鋼構造 / 鋼トラス橋 / 冗長性 / 非線形有限要素解析 / 崩壊メカニズム / 維持管理 / 余耐力 / 設計 |
Research Abstract |
我国における社会的背景から,既設構造物の維持管理の重要性が増している.さらに,2007 年 8 月に米国で起きた鋼トラス橋の落橋事故が起き,構造物の維持管理,特に,健全度評価と健全度評価に基づく余耐力・余寿命評価,の 2 点の重要性と困難さが改めて認識された.このような背景から,構造物,特に鋼トラス橋の冗長性に関する数値解析的な研究が近年報告されている.これらの鋼トラス橋の崩壊過程や冗長性の解析においては,計算負荷の観点から,格点部を剛結とした骨組要素による弾塑性解析が主流となっている.しかしながら,崩壊メカニズムの解明において,格点部の挙動を再現することが望ましいと考え,本研究では,格点部のみ板要素により詳細にモデル化した数値モデルを用いて,各部材やガセットプレートに破断や断面積の減少を与え,弾塑性有限要素解析を行い,設計では考慮されていない鋼トラス橋のリダンダンシーについて考察した.その結果,格点部を詳細にモデル化することにより,格点部を剛結とした場合と比べて塑性変形に伴う荷重の分配が異なることを明らかにした.また,格点部ガセットプレートの設計の余裕度によって,ガセットプレートの塑性化が他の部材より早く顕著に現れることがあることを示した. また,従来のように格点部を剛結とする場合,梁要素の部材長が実際よりも長くなるため,曲げが斜材に作用する時の塑性変形を過小評価する可能性があることを示した.さらに,圧縮斜材の格点部において断面変化を行なう場合,圧縮および曲げによる局部座屈が発生しやすいことがわかった.また,格点部付近の上弦材下フランジやガセットプレートの局部座屈が橋梁全体の安全性に与える影響が大きく,補剛材を設けるなどにより局部座屈を防止することはリダンダンシーを向上させるための一手段となり得ることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,主に,鋼トラス橋の格点部を板要素により詳細にモデル化した有限要素モデルを用いて,崩壊メカニズムの推定を行った.その結果,研究の概要に記載したように,鋼トラス橋の冗長性発揮のメカニズムや,冗長性向上のための知見を得た.これらの点に関しては,おおむね計画通りに進捗している.しかしながら,マルチスケール解析による数値解析の効率性向上については改善の余地を残した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度において,課題として残った構造物の非線形マルチスケール解析の構築を進める.これと平行して,これまでの成果を元に,構造物の冗長性を高める設計法を確立することを目的とする.まず,許容応力度設計法や限界状態設計法で,各部材の設計耐力と作用力の比を部材の設計上の余裕度と定義する.設計上の余裕度は 1以上となり,設計上の余裕度が大きいほど耐力に対して作用力が小さく,部材に余力があることを意味する.設計耐力を (耐力/安全率) とすれば,ある部材の設計上の余裕度が 1 であるとき,その部材の設計荷重 × 安全率を超えた荷重を載荷した場合,部材は破壊する.しかし,材料の非線形性を考慮した限界状態設計法であっても,すべての非線形性を考慮しているわけではないので,そのようにして設計された部材も,実際には想定した荷重を超えてもすぐに破壊に至るとは限らない.さらに,ある部材が破壊しても,内力が他の部材に再分配される場合,必ずしも構造物の崩壊に至るとは限らない.そこで,設計において考えられるすべての荷重パターンの中で,構造物を崩壊させる最小の荷重倍率を構造物の実際の余裕度 = 構造物の冗長性と定義し,構造物の冗長性を最大化するような設計を試みる.現実的ないくつかの鋼トラス橋について,構造物の冗長性を最大化する試設計を行う.これらの試設計をケーススタディとして,鋼トラス橋の冗長性最大化設計法を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,設備備品の購入計画はない.研究費は調査・資料収集および成果発表のための旅費,各種資料の購入,論文投稿料に使用する.
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Research Products
(1 results)