2011 Fiscal Year Research-status Report
鋼床板に作用する輪荷重に着目した疲労環境モニタリングの研究
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23760420
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 啓悟 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40546339)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 軸重 / 鋼床版 / Weigh-In-Motion / モニタリング / ひずみ |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに複数の橋梁において,軸重を既知とした試験トラックを用いて,動的にひずみデータを取得してきた。このうち鋼床版を有する橋梁においては,車両の走行速度を20km/h~70km/hに変化させて,鋼床版横リブ,縦リブ,その他デッキプレートにおいて直接ひずみ応答を記録している。 H23年度はまず高速フーリエ変換を用いて,鋼床版の横リブ縦リブで取得されたひずみ応答を周波数帯領域へと変換し,ひずみ成分の周波数特性を把握した。ひずみ応答の周波数特性は,車両の走行速度に依存するが,縦リブ,横リブにおいて,概ね前者が5Hz~15Hz程度,後者が0.5Hz~2.5Hz程度であることが判明した。各橋梁が同様の周波数領域の応答傾向を示しており,鋼床版の剛性は橋梁による差異が小さいことを意味していると考えられる。 この結果から,活荷重ひずみを抽出するためのFFTフィルタプログラムを作成した。プログラムは若干の余裕をみて,縦リブが18Hz以上,横リブが4Hz以上の周波数領域をカットすれば,ノイズの除去が可能であり,活荷重ひずみを抽出できることがわかった。しかしながら,横リブのデータには高周波成分による軸ひずみ情報が内包されていることを考慮し,横リブは縦リブと同様の18Hz以上をカットすることとした。 横リブの応答は,影響線長が長いために,各軸の影響が重なり会ったひずみ履歴となるが,縦リブは各軸が重なり合うものの,ひずみ応答が横リブのそれと比較して各軸通過の応答が鋭敏であることから,軸重算出にはこのひずみデータを用いることとした。しかしながら,縦リブのひずみ量は,車両の通行位置の変動によって大幅に増減するために,横リブのひずみデータから車両の走行位置に関する問題の解決を図ることとした。この問題については平成24年度に引き続き取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の進捗状況目標である「(1)ひずみデータのFFTを用いた周波数特性の把握およびノイズの除去」は各橋梁においての特徴を捉え,また,周波数特性を定量的に把握し,活荷重ひずみの効果的な抽出に成功しており,次へのステップにつながる布石となったと考えている。 「(2)ウェーブレット変換によるタイヤ通過時刻取得」に関しては,ウェーブレット変換を適用せず,これまでに18Hz以上の高周波周波数帯をカットすることによって,ノイズを除去した縦リブのひずみ応答から通過時刻が明瞭に把握できている。そのため,まずは,ウェーブレット変換による通過時刻の取得を実施せずに軸重算出を試みることとした。 ただし,精度の高い軸重算出に対し,あらゆる角度からの計算方法を検討するために,ウェーブレット変換による横リブひずみデータからの軸情報の抽出は,引き続き今年度も検討事項に含める。ウェーブレット変換による横リブデータからの軸通過情報を考慮し,FFTを用いた横リブデータのノイズ除去では,縦リブと同様の18Hzとしており,ウェーブレット変換の適用が有功となり得る周波数帯のデータを残すこととしている。
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Strategy for Future Research Activity |
【車両走行位置と縦リブひずみ応答との定量的評価】 縦リブと横リブでは,影響線長および剛性の違いからひずみ応答の性質が異なる。車両走行位置の判定には,この性質を利用する。横リブは通行車両の横断方向に関する走行位置が変化してもひずみ応答に変化が小さい。これと比較して,縦リブは変化が大きい。すなわち横リブで通常のWeigh-In-Motionを行い,車両重量を算出しておく。この車両重量に対して,縦リブのひずみ応答から算出する軸重の合計を比較することにより,走行位置の判定を図る。 ひずみゲージを設置した縦リブの直上を通過した場合,その軸重から算出される車両重量はWeigh-In-Motionから得られる車両重量と一致するはずである。一方,車両走行位置が当該の縦リブ直上でなかった場合,縦リブから算出される軸重の合計量はWeigh-In-Motionの算出車両重量より小さくなる。 走行位置と縦リブにおけるひずみ応答の関係は,FEM解析によって定量的に明示する。実測でも走行位置とひずみ応答の関係が大まかではあるものの得られており,これらのデータを解析の結果と照らし合わせて,評価する。【疲労環境の評価】最後に,軸重算出結果を長期間に渡って取得したひずみデータに対して適用し,鋼床版に作用するタイヤ重量別頻度分布を明らかにする.また,同時に走行位置分布を明らかにすることにより鋼床版の疲労環境を定量的に示す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
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