2012 Fiscal Year Annual Research Report
振動による鋼橋の損傷検出限界の解明と圧電体を利用した損傷検出手法の開発
Project/Area Number |
23760421
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
宮下 剛 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (20432099)
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Keywords | 橋梁 / 維持管理 / 振動 / 損傷 |
Research Abstract |
既設橋梁の老朽化は急速に試行しており,それらの健全性を定量的かつ効率的に評価する手法の確立が強く求められている.前年度は,撤去橋梁に対して段階的に損傷を与えながら振動計測を行い,損傷と動特性変化の関係把握を進めた.今年度は,さらに,橋梁の損傷検出に向けて,圧電体を受動素子として利用するモニタリング手法の研究を行った.具体的には,PCケーブルが破断する際に発生する音に着目して,複数台のコンクリートマイクを用いた音響モニタリングシステムを構築し,音源位置を同定する手法について検討した.モニタリングシステムの構築では,マイクのS/N比を向上させるために,ノイズ低減回路を実装したマイクアンプを新たに開発した.また,音源位置の同定に向けた検討では,複数台のマイクを用いてコンクリート内部を伝播する音の発生位置を同定するために,三次元の音源位置同定手法を定式化した.そして,PCケーブルの破断音をハンマの打撃音で模擬した室内実験を実施して,同定手法の妥当性を検証した.ここでは,弾性波速度の同定ならびに波形の読み取り精度が音源位置の同定精度に与える影響が大きいことが分かった.このため,解析対象とする周波数帯域を限定し,波形の高周波数成分を取り除いてノイズを低減させるパスバンドフィルターを適用する方法について検討した.この結果,音源位置の同定精度が向上した.また,モバイルルーターと遠隔操作ソフトを組み合わせた簡易な遠隔モニタリングシステムも構築しており,今後は,上記の音響モニタリングシステムをPCケーブルの破断が実際に生じた実橋梁へと適用を図り,予防保全を行う予定である.
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