2011 Fiscal Year Research-status Report
漏洩ガイド波計測による鋼板表面きずの超音波非破壊評価
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23760427
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木本 和志 岡山大学, 環境学研究科, 准教授 (30323827)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 漏洩波 / 超音波 / 非破壊検査 / ガイド波 |
Research Abstract |
本研究は超音波計測実験、数値シミュレーション、逆解析理論の3つの点から研究を進めている。それぞれについての平成23年度研究実施状況は以下のようである。1.超音波計測実験:漏洩ガイド波を計測するための計測システムの構築を行った。具体的には、送信超音波探触子とサンプルを固定するためのジグ設計と制作を行い、次に、受信ハイドロフォン位置を精密に制御するためのステージと波形取り込みのためのオシロスコープおよびパルサーレシーバを制御する機構を構築した。測定精度、実験効率の評価と改善、レシーバ位置調整と波形収録部の完全な同期は、今後実施の予定だが、以上により、漏洩波計測装置の主要部分は完成させることができており、H24年度より、本装置を用いて、各種サンプル、探触子の組合せで漏洩波の計測を実施することができる。2.数値シミュレーション:FDTD法による弾性波伝播散乱解析プログラムの作成を行った。23年度は2次元問題に対して、水-固体-水の三層モデルにおける波動伝播解析FDTDプログラムを作成した。同時に、き裂面の接触を考慮した弾性波散乱解析コードを作成し、非線形波動の一種である高調波の発生も再現することのできる数値シミュレーションが可能となった。これらのプログラムを併用することで、き裂の存在によって励起される漏洩ガイド波のシミュレーションを行うことが可能となった。3.逆解析理論:き裂位置と深さを計測波形から同定する逆解析手法として、時間反転集束法の適用性について検討を行った。その結果、シミュレーション波形を用いた場合には、良好な逆解析 結果が得られることを確認できた。以上より、今後、実際に計測した波形を用いて、逆解析を行う場合の課題抽出と、最適な計測条件および波形処理方法を検討してゆく準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波計測を行うための装置は主要部が完成し、実際に波形計測が可能な状態となっている。また、波形処理を行うための順、逆解析ソルバーも、2次元問題については概ね完成しており、初年度の進展度は妥当なレベルにあるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.数値シミュレーションH23年度に開発した数値シミュレーションプログラムを、計測波形をシームレスに解析できるような形に統合する。すなわち、ガイド波のモード分解、時間反転処理、逆伝播計算およびき裂検出までを一連の処理として実施できるような波形処理システムとする。ただし、モード分解に関しては、ノイズが混入した計測波形をいかに適切に処理するかが、未検討かつ重要な課題になる。この課題に取り組むにあたり、計測波形の逆伝播処理過程を可視化してモニタリングすることで、逆解析の入力値がどのような範囲であれば適切に解析が進行するかを把握することができると考えている。2.超音波計測試験表面きずを加工したサンプルに対して、23年度に開発した超音波計測システムを用いて漏洩ガイド波の計測を行う。24年度前半は、計測システムの精度チェックと効率化を行い、必要な改良を実施する。後半はハイドロフォンをつかった高密度計測を行い、一連の計測-波形処理システムを使ったき裂検出・評価性能の検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
超音波受信用ニードルハイドロフォン、高密度スキャンのためのリニアブッシュ、送信用超音波探触子の購入を予定している。ハイドロフォンは、高い空間解像度で超音波計測を行うためにニードル型のものを、リニアブッシュはその鉛直方向位置あるいは角度を精密に制御を目的として購入するものである。なお、リニアブッシュは、H23年度に開発した計測システムに追加することで、スキャンニングパターンの自由度を上げることができ、実験効率の向上にもつながる。一方、超音波探触子は送信感度を上げるために、防水加工をした接触型の斜角探触子を購入する予定である。上記に加え、アルミブロックに放電加工で模擬き裂を作成した供試体を作成する費用として研究費を用いることを計画している。最後に、本研究では波動伝播解析をベースとした波形処理を行うため、計測だけでなく大規模な計算を実施する必要がある。そのために必要な計算機環境を整備するために、適宜メモリやハードディスク、CPU等のコンピュータ部品も購入を行う予定である。
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Research Products
(3 results)