2011 Fiscal Year Research-status Report
反応表面近傍の流動特性に注目した分極曲線モデリングと腐食予測
Project/Area Number |
23760429
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
須賀 一博 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30408992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 腐食予測 / 分極曲線 / 電気化学 / 流体解析 / 電場解析 |
Research Abstract |
水,エネルギー需要の拡大に伴い,取水ポンプ,発電所の熱交換器,埋設パイプライン等の流れ場における腐食予測技術の向上に対する要求が高まっている.実環境流れ場下での腐食予測を高精度下するために以下の研究を行った. 流動特性を変化させながら分極曲線を測定するシステムを開発した.開発したシステムを用いて,異なる流動特性下で分極曲線の測定を行い,データベースを構築している.海水環境中の炭素鋼(SS400)と酸素の腐食反応を対象とした.腐食反応表面近傍の流動特性として壁せん断応力と酸素濃度を数値シミュレーションにより見積もった.さらに,試験片表面の腐食状態を電子顕微鏡とレーザ変位計を用いて観察した.壁せん断応力のある値をしきい値として,試験片表面の腐食状態が異なることが示された.具体的には,腐食性生物の堆積やピットの成長度合いが異なった.そこで,壁せん断応力の関数として分極曲線をモデル化することを試みた.分極曲線の傾きと平衡電位を壁せん断応力の関数としてモデル化した. 提案したモデルの妥当性を検証するために,腐食予測結果と実験結果を比較検討した.この検証では,試験片前方にオリフィスを設置し,試験片表面の壁せん断応力が大きく分布するようにした.実験で得られた腐食生成物の分布と,数値シミュレーションにより予測された電流密度分布が定性的に一致することを確認した.今後,定量的な比較を進める. これまでの研究から,流れ場での分極曲線をモデル化するために,壁せん断応力が重要であることが示された.さらに,分極曲線を流動特性の関数としてモデル化できる可能性を示した.これらの成果は,実験室環境下で得られた分極曲線を用いて,実環境下での腐食を精度良く予測できる可能性を示すものである.安全かつ経済的な社会の実現に大きく貢献するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,分極曲線データベースの構築が主たる目的であったが,研究全体のコンセプトをここまでの研究で検討できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
分極曲線のモデル化について酸素濃度の影響の検討を行う.また,モデル化した分極曲線を用いた腐食予測の妥当性について,定量的な評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の拡充を行い,実験の効率化を図る.国内外で成果を発表し,研究成果のフィードバックおよび新テーマの創出を行う.
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