2012 Fiscal Year Annual Research Report
内部浸食による劣化を考慮した既設盛土の耐震性能評価法の提案
Project/Area Number |
23760440
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 章浩 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40293047)
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Keywords | 内部浸食 / 盛土 / 耐震 |
Research Abstract |
最終年度である平成24年度は,初年度に引き続き,浸透流による土の細粒分の流失(内部浸食)による土の変形・強度特性の変化をせん断試験により調べると共に,同現象による盛土の安定性低下についても模型浸透・振動実験の実施により調べた.試料に所定の拘束圧下で浸透流を付与することにより細粒分流失を発生させ,続けて,せん断試験を実施することが可能な装置を試作し,排水,及び,非排水条件下における三軸圧縮試験,並びに,非排水条件下における三軸繰返しせん断試験を実施した.その結果,排水三軸圧縮試験では,細粒分流失に伴う明確な強度低下が確認された.一方,非排水試験では,細粒分流失による残留強度の低下は見られたものの,ピーク強度や繰返しせん断に対する抵抗は,細粒分流失によりかえって大きくなることもあることが明らかとなった.模型浸透実験では,盛土内の浸透流により細粒分含有率が低下する箇所と増加する箇所が現れることが確認された.浸透過程における盛土の体積変化はそれほど大きくなかったことから,今回対象とした土においては,盛土内浸透流により,細粒分含有率が低下する法尻部と斜面浅部では間隙比の増加が,斜面深部では間隙比の減少が発生することが明らかとなった.このような内部浸食を受けた盛土の天端に載荷試験を行った結果,内部浸食により法肩における支持力の低下が発生することが明らかとなった.一方,内部浸食を受けた盛土に振動を加えて,その地震時変形挙動を観察した結果,内部浸食を受けていない盛土に比べて,斜面深部での細粒分増加による土の強度増加に伴い,地震時に深いすべりが発生しにくくなる可能性があることが明らかとなった.
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