2011 Fiscal Year Research-status Report
圧密履歴の異なる粘土の収縮特性とその骨格構造の予測への応用
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23760442
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河村 隆 信州大学, 工学部, 助教 (50324231)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 土質力学 / 土の物理的性質 / 粘土 / 収縮特性 / 真空圧 / 間隙比 / 含水比 |
Research Abstract |
平成23年度交付申請書における研究計画の内容は,(1)スラリー粘土および一次元圧密粘土の収縮特性,(2)レーザー顕微鏡による微視的構造の観察と画像解析による骨格構造の定量評価,の2点である.研究計画(1)に関して,カオリン粘土および笠岡粘土の2種類の試料を使用した試験を実施した.初期含水比(スラリー試料および圧密再構成試料)と形状の異なる飽和供試体を真空デシケータ内に静置し,飽和蒸気圧付近に減圧することにより,間隙水を蒸発させ,含水比を低下させた.定期的に供試体を取り出し,質量,直径および高さを測定した.試験終了後,炉乾燥した供試体の体積をパラフィン法により測定した.初期含水比の異なる試料として,圧密再構成試料とスラリー試料を用いた.スラリー試料においては,卓上自動真空撹拌脱泡機(購入備品,ミニダッポー)を用いて十分に脱気した.得られた主な知見は以下の通りである.(1)形状が異なる場合においても,液性限界の0.7~2倍の含水比から絶乾状態に至ったときの側方ひずみと鉛直ひずみは,初期含水比が同じであればほぼ同じである.(2)初期含水比が異なる場合においても,圧密再構成粘土の含水比低下に伴う側方ひずみと鉛直ひずみはほぼ同じであり等方収縮が生じる.一方,スラリー粘土の場合は,鉛直ひずみの方が大きくなっており,真空蒸発の初期段階において上端面からのみ間隙水の蒸発が生じていることが影響していると考えられる.(3)液性限界の1.5~2.0倍程度の初期含水比のスラリー試料の無収縮過程における間隙比は,学会基準で定められている収縮限界における間隙比の1.3~1.5倍になる.研究計画(2)に関して,笠岡粘土の真空蒸発後の供試体を用いて測定を試行した.測定における課題の抽出を行い,その解決について検討を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度交付申請書における研究計画の(1) スラリー粘土および一次元圧密粘土の収縮特性については,圧密再構成試料とスラリー試料に対して結果を得ている.しかし,(2) レーザー顕微鏡による微視的構造の観察において,以下の様な課題があり,その解決について検討を行っている.(1)計測用供試体の端面の平坦度の確保,(2)計測された膨大な数値データの評価方法.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,以下の2点について検討を行う.(1)等方圧密粘土の収縮特性と微視的構造の定量評価:現有の三軸装置試験装置(最大拘束圧600kPa)と高圧三軸試験装置(最大拘束圧10MPa)を用いて,等方圧密試料を作製する.所定の寸法に整形した供試体を真空デシケータに静置し,一次元圧密試料(平成23年度(1))と同様に真空蒸発法を適用する.平成23年度(2)と同様に顕微鏡撮影・画像解析を行い,微視的構造の定量評価を行う.(2)収縮特性による骨格構造の評価:真空蒸発法による収縮試験結果および収縮後の顕微鏡写真の画像解析結果より,骨格構造の評価方法を明らかにする.特に,収縮試験から得られた最小間隙比および収縮率の縦横比および顕微鏡写真より得られた3次元データにも着目する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では,既存の高圧圧密試験機の整備が想定よりも安価であったため,次年度使用額が生じた.等方圧密供試体を作製するために既存の高圧三軸試験機の整備を行う.レーザー顕微鏡の三次元データ処理のために,デスクトップパソコンを1台購入する.レーザー顕微鏡よって精度良く測定するための端面成形治具等を作製する.消耗品として粘土試料,シリコングリース,真空ポンプオイルなどを購入する.研究成果の発表および情報収集のために,第47回地盤工学研究発表会(八戸市)および平成24年度全国大会 第67回年次学術講演会(名古屋市)への参加旅費を使用する.
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