2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760444
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小松 満 岡山大学, 廃棄物マネジメント研究センター, 准教授 (50325081)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地下水 / 不飽和 / 飽和度 / 間隙空気圧 / 間隙水圧 / 気体注入 |
Research Abstract |
本研究では,地盤の不飽和化による液状化対策の性能評価における不飽和状態の持続性や河川堤防等土構造物の地震発生時の破壊現象における地盤中の間隙空気が及ぼす影響,二酸化炭素の地中貯留技術における注入後の長期安定性の評価としての気体の圧縮・消散挙動について着目し,主に下記の2点を課題としている。(1)飽和度上昇過程における気体の圧縮と残留メカニズムの解明。(2)正圧側の水分保持特性を考慮した不飽和モデルの構築。当該年度は,地盤中の正圧下における飽和度上昇プロセスにおけるメカニズムを探求するために,主に室内での要素試験を実施した。具体的に実施した項目は大別して以下の4項目である。(1)FDR装置の適用性の高度化:高飽和度領域での水分量を高精度でモニタリングするために,これまで開発してきたFDR 装置(高周波領域のスペクトル特性から誘電率を測定する方法)に対する適用性を検証した。具体的には,センサー形状の検討と,測定分解能の検証,新たなキャリブレーション曲線を作成するとともに,誘電率を算出するための波形解析にフーリエ変換を応用した手法を構築したことで高飽和度領域でノイズが混入した場合の測定精度が向上した。(2)地下水位回復過程による不飽和化地盤に対する飽和度上昇試験:地下水回復速度と飽和度との関係及び段階的な正圧状態における飽和度の上昇挙動(気体の圧縮量と消散量)の経時変化より,圧縮性が卓越することを明らかにした。(3)気体注入による不飽和化地盤に対する飽和度上昇試験:空気と二酸化炭素の注入過程に対する注入圧と飽和度との関係及び加圧状態における飽和度の上昇挙動より,気体の移動メカニズムについて考察を行った。(4)正圧側の水分保持特性の評価:飽和度と正の間隙水圧の関係及びその勾配に対する圧力変化速度の影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地盤中の正圧下における飽和度上昇のメカニズムを探求するために,主に予定していた室内での飽和過程に至る要素試験を実施することができた。具体的には,(1)飽和地盤に対して地下水位を低下させて一旦不飽和化させた後,再度地下水を回復させた際に残留する空気量を把握するとともに,水圧の上昇に伴う間隙空気の圧縮量と溶存量から正圧領域における水分保持特性を把握した。一方,(2)飽和地盤に対して気体(空気及び二酸化炭素)を直接注入して不飽和化させた後,同様に間隙気体の消散挙動から飽和に至るプロセスをモニタリングした。これらの要素試験から得られた結果を基に気体の溶解量や種々の圧力下における圧縮量を考慮したこれらの現象のモデル化につなげる必要があるが,当該年度はその基礎的なデータを取得することができた。 従って,当初計画していた試験を実施した上で,良好な結果が得られたものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した結果を踏まえて,研究の最終年度としてモデル化を試みる。(1)不飽和浸透特性の計測:正圧側の水分保持特性は,従来の不飽和領域における浸潤過程の水分保持特性に影響されるため,浸潤過程における水分保持特性を簡便に計測する手法について検討する。具体的にはナイロンフィルターによる加圧膜試験法を改良した手法を検討する。また,不飽和モデルの構築に必要な不飽和透水係数についても瞬時水分計測法を用いて計測する。(2)飽和過程への移行における不飽和モデルの構築:不飽和領域の影響評価において,従来の飽和-不飽和浸透流解析に代表される解析手法では正の水圧側での水分特性曲線は考慮されない。上記で求めた特性を正圧側の構成則として用いることができる解析手法の開発が必要である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
なし。
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