2011 Fiscal Year Research-status Report
障害物による流れの遮蔽効果の解明:最適耐風設計を目指して
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23760456
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
横嶋 哲 静岡大学, 工学部, 助教 (80432194)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 水工水理学 / 計算流体力学 |
Research Abstract |
今年度は主に、(1)課題遂行に必要な数値解析コードの開発、(2A)基礎的な流れ場における基本性能の検証、および(2B)応用的流れにおける実用性の評価、を行った。その概要は以下のようである:解析コードの基本性能評価として、低波数領域でエネルギー注入を行うことで実現された、統計的に定常な一様等方乱流中に投入された多数の微小粒子の挙動および衝突特性を採り上げ、直接数値シミュレーションによる数値実験を行った。実験結果は対応する理論解と極めて良好に一致しており、開発した解析コードが乱流シミュレータとして十分な精度を有することを確認した。また、本数値実験は解析コードの性能評価手段としての側面だけでなく、雲中の雨滴の成長や水中の微生物同士の捕食・被食関係といった現象に乱流変動がどのような影響を及ぼすかという観点からも興味深い系を構成している。本研究では特に、そのレイノルズ数依存性に注目した検討を行い、得られた結果についていくつかの研究発表を行った。実用性の評価として、自由水面の変形を伴い、部分的・間欠的に水没する物体のある開水路乱流を、乱流予測ツールとして期待が高まっているラージ・エディ・シミュレーションにより再現し、物理的に妥当な結果が得られたことを確認した。河川中上流部によく見られる、大きな礫や石を含む河川流への実用も十分に期待できる。また、物体に作用する流体力の時々刻々の変化についても妥当な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、障害物の配置や閉塞率を系統的に変化させた数値シミュレーションの一部も今年度に行う予定であったが、数値解析コードの検証に予想より時間を要したため、少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の核心である、障害物による流れの遮蔽効果(すなわち、流れ中に複数の障害物が存在するときの障害物間の相互作用)の解明を進める。障害物の配置や障害物による流れの閉塞率を系統的に変化させ、それらが遮蔽効果に及ぼす影響の理解を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越が生じた理由は、今年度に獲得した他の科研費と研究費の支出用途が重なったためである。次年度の研究費の主な使用用途は、計算の高速化に必要な数値計算ライブラリの購入(物品費)、研究成果発表と情報収集のための国内外出張・会議参加経費、連携研究者との研究打合せ経費、を予定している。
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