2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール気候モデルの出力を用いた統計的ダウンスケーリングと不確実性の定量化
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23760459
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
KIM Sunmin 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (10546013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 全球気候モデル / アンサンブル降水出力 / ダウンスケーリング |
Research Abstract |
本研究では,同じ初期条件と境界条件で計算されたマルチスケール全球気候モデルMRI-AM60km(60km空間・1時間単位時間分解能)とMRI-AM20km(20km空間・1時間単位時間分解能)の出力データの相互関係を分析することで,MRI-60kmを用いて計算された異なる初期条件と境界条件の12個のアンサンブル降水出力に対して統計的ダウンスケーリング手法を適用し,アンサンブル効果を持っている複数の20km解像度の降水データを作成する.作成した超高解像度のアンサンブル降水データを用いては,将来の洪水・渇水リスク影響評価をより高い信頼性で実現し,さらに温暖化影響評価へ存在する予測不確実性を定量化する手法を提案する. 平成23年度では,同じ条件で計算されたMRI-AM60kmとMRI-AM20kmのメイン出力(現在気候:1979~2003,近未来気候:2015~2039,将来気候:2075~2099)に対して,空間と時間解像度による両出力データの相互関連性について分析した.また,現在気候再現出力値に対しては,高空間分解能の日降水量観測データを利用して年降水量・降水の季節パターン・日最大降水量等の再現性を検討した. 気候モデル出力のそれぞれの特性を考慮し,60km格子に対応する20km格子の9個の降水のパターンを採択するダウンスケーリング手法を開発した.特定の日降水量の20km格子での出力パターンを調べたところ,近い降水量の出力値を持つ時系列に似た傾向が見られ,空間的な出力パターンに大きな誤差は生じなかった.しかし,ダウンスケーリング結果の空間相関はMRI-AM20kmの出力の空間相関と異なることが見つかり,現在,空間相関を正しく反映できる手法を開発している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目の研究計画であった,(1)MRI-AM20km及びMRI-AM60kmのメイン出力を降水データを中心として比較分析,(2)既存の統計的ダウンスケーリング手法の中でMRI-AM60kmのメイン出力へ適用可能な手法の模索は概ね順調に進めており,二年目の計画である(3)両モデルからのメイン出力間の関連性を考慮したダウンスケーリング手法の開発も始まっている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,MRI-AM60kmのアンサンブル出力へ適用可能な,バイアス補正も考慮した新たなダウンスケーリング手法を開発し,開発した手法を日本域及び世界域を対象に順次適用しつつ改善作業を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大容量の追加ハードディスク:50万円電算作業補助人の謝金:40万円学会参加のための旅費:40万円
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