2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール気候モデルの出力を用いた統計的ダウンスケーリングと不確実性の定量化
Project/Area Number |
23760459
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
KIM Sunmin 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10546013)
|
Keywords | 東南アジア |
Research Abstract |
本研究では,超高解像度気候モデルMRI-AGCM20kmの計算量問題と,アンサンブル出力を提供するMRI-AGCM60kmの粗い解像度の問題を同時に解決する方法として,バイアス補正を考慮した新たな統計的ダウンスケーリング手法を開発し,日本域及び世界域を対象に20km解像度のアンサンブル降水出力データを作成する.作成された超高解像度のアンサンブル降水出力データを用い,気候変動による洪水・渇水のリスク評価をより高い信頼性で実現し,予測不確実性の定量化することを目指す.上記の研究目標を達成するために,平成24年度には以下の二つの項目に関して研究を行った. ・マルチスケール気候モデル出力に対する統計的ダウンスケーリング手法の開発:MRI-AGCM20kmとMRI-AGCM60km出力の特性及び関連性を考慮しつつ,MRI-AGCM60kmのアンサンブル出力に効率的に適用可能な,バイアス補正も考慮した新たなダウンスケーリング手法を開発した.開発された手法は,まず精度の高い観測データが存在する日本の中で複数の地域を対象にして適用し,検証及び改善作業を行った. ・統計的ダウンスケーリング手法による20km解像度のアンサンブル降水出力の作成:開発したダウンスケーリング手法をMRI-AGCM60kmのアンサンブル出力へ適用し,20km解像度のアンサンブル降水出力データを日本域を対象としてテスト作成した.夏の期間に対するダウンスケーリング結果が,場合によってばらつきが大きくなる問題を現れて,その問題に関して検討中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,同じ初期条件と境界条件で計算されたマルチスケール全球気候モデルMRI-AGCM60km(60km空間分解能)とMRI-AGCM20km(20km空間分解能)の出力データの相互関係を分析することで,MRI-AGCM60kmを用いて計算された異なる初期条件と境界条件の12個のアンサンブル降水出力に対して統計的ダウンスケーリング手法を適用し,アンサンブル効果を持っている複数の20km解像度の降水データを作成することである. 実施2年目の成果として,以下の二つの項目に関して研究計画に従って順調に進んでいる. ・マルチスケール気候モデル出力に対する統計的ダウンスケーリング手法の開発, ・統計的ダウンスケーリング手法による20km解像度のアンサンブル降水出力の作成
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究内容は以下の二つの項目になる. ・開発ダウンスケーリング手法のアジア地域に対する適用と検証:開発したダウンスケーリング手法をMRI-AM60kmのアンサンブル出力へ適用し,世界域を対象として20kmアンサンブル降水出力データを作成する.その結果を高空間分解能の観測降水量観測データを利用して検証し、さらなるダウンスケーリング手法の精度向上作業を行う. ・アンサンブル出力の温暖化影響評価及び予測不確実性の定量化への利用:日本域及び世界中のいくつかの地域を対象に,20km解像度のアンサンブル出力データを用いてより高い精度の洪水・渇水リスク評価を行い,さらにその予測の不確実性を定量化する手法を提案する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度計画したデータ処理は計画より少なかったため,データ処理補助に必要な謝金(352,055円)が未使用になった.この未使用研究費は次年度のデータ処理補助による謝金として使用する計画である. 従って,次年度研究費(900,000円+352,055円=1252,055円)の使用計画は以下になる. ・物品費:予備ディスク購入200,000円,・旅費:国内成果発表100,000円,海外成果発表300,000円,・人件費・謝金:電算作業補助400,000円,・その他:論文校正と投稿料252,055円 以上,合計1252,055円
|