2012 Fiscal Year Annual Research Report
可視化計測による粒状層の界面近傍における動的乱流構造の解明
Project/Area Number |
23760460
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中條 壮大 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (20590871)
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Keywords | 多孔質体 / 可視化計測 / 粒状層 / 乱流 |
Research Abstract |
本研究では粒状層の上部流れと間隙部の流れとの相互作用を定量的に把握し,粒状層界面を通じた運動量や物質交換のメカニズムを精査し,粒状層の上部流から間隙流までを統一的に表現可能な乱流のモデリングを行うことを目的としていた.計画では,初年度は上部流と下部間隙流との基礎的な関係を,その遷移域も含めて実測し,各乱流量や平均運動量の相関関係の時間発展や,上部流の大規模渦によるイベントの頻度との関係について明らかにし,また粒状層近傍の流れを解析する数値モデルを開発する事としていた.これらは概ね計画通りに進行した.2 年目には,粒状層界面における乱流量の分布から間隙率の変化がもたらす影響について検討し,粒状層の上部流から間隙流までを統一的に表現可能な乱流モデルの構築を目指して,既に充填層流れでその有効性が検証された非線形乱流モデルの適合性を検証するとしていた.振動流中に設置された粒状層の近傍における流動計測実験より,レイノルズ数およびKC数を変化させた際の,乱流エネルギーやレイノルズ応力といった乱流量の粒状層界面における分布特性を解明した.特に振動流のように非定常な流れにおいて,低速度の位相と高速度の位相,また加速度位相と減速位相で,間隙部の流れと上部流の間に形成される強いせん断領域,すなわち境界層の発達度合が異なり,それが間隙内流動と上部流の間の位相遅れをもたらし,さらに乱流量の発達過程にも影響を及ぼしていることが示された.こうした実測に基づく粒状層近傍の流動および乱流量の知見は貴重で,粒状層近傍の流動のモデリングに有用である.実際,レイノルズ応力と速度勾配項の分布の対応から充填層流れとの類似性も示された.現段階では上部流の代表速度などのマクロな物理量と,粒状層間隙部の乱流量との関係を明快に説明するまでには至っていないが,今後は本研究で得られた計測結果の検証をさらに続けていく予定である.
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