2012 Fiscal Year Annual Research Report
中長期アンサンブル気象予測情報を活用した貯水池操作手法の開発
Project/Area Number |
23760462
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野原 大督 京都大学, 防災研究所, 助教 (00452326)
|
Keywords | アンサンブル予測情報 / 貯水池操作 / 渇水 / 動的計画法 |
Research Abstract |
本研究では、これまであまり明らかにされてこなかったダム貯水池の利水放流決定問題における中長期アンサンブル予測情報の利用性に関する分析を行い、その上でアンサンブル気象予測情報を利用したリアルタイムでの貯水池放流意思決定手法の検討を行った。まず、アンサンブル予測情報と理論的に共通する部分が多く、さらにより一般化された理論が確立されている確率予測情報を用いた貯水池操作決定手法を開発し、1)確率予測情報の利水操作への利用性を判断するためには予測情報の信頼性や識別性を考慮することが重要であること、2)貯水池の状態によって利用性の大きい確率予測情報が異なること、を明らかにした。以上の検討結果を元にして、アンサンブル気象・水文予測情報を利用した長期貯水池操作手法の開発を行った。特に、アンサンブル予測情報を考慮する方法として、1)予測値のアンサンブル平均を決定論的に利用する方法、2)予測を確率的分布情報とみなし、確率的に利用する方法、3)各予測メンバの時系列的特徴を踏まえてからそれらを総合的に考慮する方法、の三種を取り上げた上で、貯水池の長期実管理上で想定される様々な状況下においてこれらの利用方法のいずれを適用すべきかを統計的に検討した。それぞれの予測情報の考慮方法に対応する貯水池操作最適化手法として、1)決定論的動的計画法、2)確率的動的計画法、3)サンプリング確率動的計画法を採用して検討を行った結果、特に渇水時においては、3)の各予測メンバの時系列的特徴を踏まえて考慮する方法が、渇水被害を軽減する上で最も効果的であることを示した。また、渇水時においては、アンサンブル予測情報の平均値だけでなく中央値に着目することが、操作精度を向上させる上で重要である可能性を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)