2011 Fiscal Year Research-status Report
効率的な資源循環に向けた静脈物流における共同輸送の課題構造に関する研究
Project/Area Number |
23760473
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楽 奕平 東京大学, サステナビリティ連携研究機構, 特任研究員 (20573116)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 静脈物流 / 共同輸送 / 課題構造 |
Research Abstract |
廃棄物リサイクルの過程においては、輸送に要するコストが高いため、資源・エネルギー面での制約が課題になっている。本研究は、廃棄物の回収・輸送を指す静脈物流の実態把握を行うとともに、特に、排出者から中間処理施設又は中間集積拠点へ向かうまでの静脈物流の効率化のため、共同輸送の実現にあたっての実務的課題・要因を構造化し、課題解決のための方策を検討することにある。本研究は、(1)静脈物流に関わる事業者の産業規模、産業構造及び利害関係者の実態把握、(2)静脈物流における共同輸送の実施状況、動脈物流との比較、(3)共同輸送の形態の実態把握、(4)成功及び失敗した事例について、要因と課題の抽出、(5)それぞれの要因及び課題の構造化、(6)課題が解決された場合、どの程度の効率化が図られる可能性があるのか、という6点を明らかにするのを目的としている。平成23年度の計画として(1)~(3)の実施を予定であったが、平成23年8月より研究代表者は産前産後休暇及び育児休業を取得したため、平成23年4月~8月は(1)~(3)の文献調査及び関連資料収集までを実施した。具体的には、産業廃棄物処理の実務及び廃棄物処理の法令に関する行政資料等の収集を行い、制度面、政策面での基礎的な情報の整理・確認を行うとともに、(1)のために必要な統計資料、個別企業データ等の収集、(2)及び(3)に必要な動脈物流の事例の収集及び現地調査、静脈物流への当てはめの検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年4月~8月においては当初予定通り、ヒアリング調査のための資料収集と文献調査を実施。その後、研究代表者が平成23年8月より平成24年3月まで、産前産後休暇及び育児休業を取得したため、当初同期間において計画していたヒアリング調査を実施することが出来なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
「産前産後の休暇又は育児休業の取得に伴う科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長」により、当初23年度~24年度予定していた研究は一年を延長して、23年度~25年度に変更した。平成24年度は、当初平成23年度に予定していた残りの調査を行うこととし、(1)静脈物流に関わる事業者の産業規模、産業構造及び利害関係者の実態把握、(2)静脈物流における共同輸送の実施状況、動脈物流との比較、(3)共同輸送の形態の実態把握、という3点についてヒアリングを中心に、調査を実施する予定。具体的には、(1)について、過去に静脈物流の実態調査を行った(社)全国産業廃棄物連合会収集運搬部会、運搬作業の主体となる廃棄物収集運搬許可業者にヒアリング調査を実施する他、特定の自治体を対象に、詳細なヒアリングを行うこととし、あわせて住民の代表者からのヒアリングを行うこととする。(2)(3)については、共同輸送システムを推進している(社)ビジネス機械・情報システム産業協会静脈物流委員会、静脈物流におけるモーダルシフトに関する実証実験を行っている瀬戸内静脈物流とリサイクルポートの事業体を対象にして、ヒアリング調査を行う予定である。平成25年度は、当初24年度に予定していた分析等を行うこととし、ヒアリング及び統計調査等により得たデータ、分析結果について、より詳細な考察を加えることとする。(4)成功及び失敗した事例について、要因と課題の抽出、(5)それぞれの要因及び課題の構造化、(6)課題が解決された場合、どの程度の効率化が図られる可能性があるのか、という点から研究を進める。共同輸送における成功事例、失敗事例から課題・要因を抽出、構造化し、仮説の検証を行う。また、成功事例による課題解決法の検討を行い、静脈物流における共同輸送が広く普及した場合の、効率化の効果、環境負荷の低減効果、リサイクル推進への寄与などについて検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、主にヒアリング調査の旅費として支出予定。本研究における共同輸送の課題として住民との合意形成の困難さを作業上の仮説としており、これを検証するため、自治体へのヒアリングや関連する住民への聞き取りの実施を予定。これに加え、共同輸送を実施又は提案している事業者団体、静脈物流におけるモーダルシフトに関する実証実験を行っている瀬戸内静脈物流とリサイクルポートの事業体等にもヒアリングを実施する予定である。以上から、国内旅費が必要。このほか、調査への協力の謝金、図書及び統計資料等の購入、学会発表の旅費と登録費として支出予定。
|
Research Products
(1 results)