2013 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な資源循環に向けた静脈物流における共同輸送の課題構造に関する研究
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23760473
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楽 奕平 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任研究員 (20573116)
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Keywords | 静脈物流 / 共同輸送 / 問題構造化 / ステークホルダー分析 / 運搬コスト削減 / 零細性 |
Research Abstract |
本年度は、静脈物流に係る共同輸送の成否の要因と課題の整理を目的とし、行政主体の社会実験等に係る調査を追加的に実施し、問題構造化手法により、廃棄物の種類や運搬主体の差異にも考慮を加えながら、成功・失敗の要因と課題の構造化を行った。 前年度までの調査では、成功事例としての回収機交換システムについて、成功要因の一つに廃棄物処理法の規制上のメリットという固有事情が存在したため、本年度はより広範に事例調査を実施した。近年、小規模ながら共同輸送の社会実験に至った東京都の事例を調査したほか、廃棄物対策に係る実務担当者間で代表的事例として共通認識のある札幌市の共同輸送が成功例として判明し、あわせて調査した。 結果について、事例横断的に課題とステークホルダー間の関係性を整理し構造化を図った結果、主な成功要因として、共同輸送による費用削減メリットの内部化が導かれた。回収機交換システムでは、回収・運搬する製造者自らが運搬コストを負担しており、また、札幌市の事例でも、料金設定に責任を有する市・公社が運搬を管理しており、効率的運搬のインセンティブが内在化されている。同時に運搬の委託者の規模が大きく運搬コストの価格交渉力を有したことも挙げられる。これに対応し、成功に至らない事例の課題としては、市場分割及び地域独占による市場性の欠如が挙げられる。これらは構造的要因であり、事例の汎用性は限定的だが、例えば排出者側の協働による価格交渉力の向上による市場化の方向性が考えられ、今後実証事業等の検討の際に、需要側へアプローチを転換する必要性が示唆された。また、行政が関与した事例において、公的ルールの整備により運搬者側の負担軽減と共同化の橋渡しが促されることが示唆された。全体的には共同輸送事例の蓄積の乏しさや固有事情の影響の大きさが明らかとなったが、地方行政等の公的主体が中心となった知見の共有が重要と考えられる。
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Research Products
(3 results)