2011 Fiscal Year Research-status Report
浄化槽整備地区の水路環境に着目した地域水環境形成に対する浄化槽整備の影響評価
Project/Area Number |
23760502
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 俊郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30335103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 地域水環境 / 水質 / 浄化槽 / 放流水 / 水路 |
Research Abstract |
本研究は,処理水放流先の"水路"に着目して,現場調査によって水路の環境を明らかにするとともに,浄化槽の種類や管理状況が水路環境に与える影響を解明し,水路環境から見た健全な地域水環境の形成に資する浄化槽整備・管理のあり方を提示することを目的としている。今年度は,岐阜県内にある浄化槽整備地区内を流れる水路を対象に,浄化槽放流先の水路環境の季節変化を中心に把握するため,現地調査をこれまでにのべ9回実施し,物理的指標である流量や水温の観測,現地観測と採取した水の分析による水質の分析,さらに一般細菌,従属栄養細菌,大腸菌群,大腸菌,モデルウイルス(大腸菌ファージ)の分析を実施した。調査対象水路の水は,浄化槽放流水と農業用水および地下水からなり,夏季に農業用水の導入によって希釈の効果を受けるが,冬期は浄化槽から放流される水の影響を強く受け,水路の水質は季節によって大きく変化すること,水路において一般河川に比べて微生物濃度は高い濃度にある特徴等が明らかになった。浄化槽から放流される水と放流先水路内の水を晴天時に朝から夜中にかけて連続的に採水した結果,放流水は日常生活による水利用による水質の変化が確認でき,日中に比べて朝および夕方から夜の時間帯に有機物や濁質などが高くなる特徴が見られた。また一般的な水質成分濃度は時間変化するが,微生物項目については比較的濃度の変化はみられない特徴があることが分かった。さらに,使用されている浄化槽の種類が異なる隣接地区内水路の調査結果から,有機物や窒素,リン濃度には合流式浄化槽を用いた地区で比較的低く,浄化槽の種類による差が確認できたが,大腸菌数や微生物密度に有意な差はなかった。調査対象水路内の複数地点で底質も同時に採取し,底質中の大腸菌や活性のあるモデルウイルスの密度が浄化槽処理水の合流後に上昇する傾向にあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に予定していた,浄化槽処理水とその放流先水路の放流前後の水質と底質の実態について現地調査より把握することができ,浄化槽処理水による環境への影響について概要を把握することができた。また水路水質の季節変化や時間変化について把握することができた。しかし,同年度に同じ対象地区において降雨による水質等の変化を把握するための降雨時連続調査を予定していたが,降雨のタイミングがあわず,年度内に調査する機会がなく,降雨による水路内環境の変化についての把握ができなかったため,次年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在調査を実施している場所において,降雨期間中前後を対象とした降雨時連続調査を実施する。また,比較対象のため,現在の調査対象地区以外の浄化槽使用地区における晴天時連続調査を実施する。今年度は,浄化槽の種類や管理状態と放流先水環境中での水質および底質との関係について複数地点を対象に調査を実施する。また,流量の把握頻度を上げ,計画のように負荷量調査を実施する。また,とりまとめた調査結果は学会等で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度も主に,現地の調査観測および水質等分析に必要な器具および消耗品の購入に研究費を使用する。降雨時連続観測に用いる水位データロガーの購入,水質および底質の分析に必要な試薬が主な使途となる。特にモデルウイルスの分析等,微生物項目の分析に研究費を要する。今年度は,調査対象地点が増えるため,分析に必要となる試薬等が多くなるため,昨年度使用していない分の研究費を使用する。
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